2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路モデルによるロボットの発達的な物体知覚機構の構築と動作生成
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23800033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西出 俊 京都大学, 次世代研究者育成センター, 助教 (30613400)
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Keywords | 知能ロボティクス / アフォーダンス / ニューラルネットワーク |
Research Abstract |
本年度はロボットの能動知覚経験から物体特徴量を抽出し,道具使用能力応用へと発展させるための基礎研究を行った.具体的にはロボットの身体ダイナミクスモデルを神経回路モデルMultiple Timescales Recurrent Neural Network(MTRNN)で学習した。まず,物体特徴量の抽出については,「転がる」「跳ねる」「倒れる」「滑る」の4動作をロボットの卓上物体操作経験から適切に分類する特徴量を獲得することに成功した.道具特性によって身体モデルを補正する手法として,まずはMTRNNの挙動を上書き修正する二次ネットワークを用いる手法を開発した,実験ではHRP-2を用い,道具はL字型・T字型・I字型の三種類のものを用いた.これにより,未学習の道具に対してもそれまでの道具使用経験を汎化して道具特性を推定することが可能であることを確認した.しかし,ロボットの身体モデルを上書きする手法は人間の道具使用とは異なっている.そのため,ロボットの身体モデルを補正する形で道具身体化を行うモデルを開発している.本モデルを用いた実験として,卓上物体を道具把持・未把持の状態で引き寄せるというものを行った.実験は空気圧アクチュエータを用いたアクトロイドを用い,道具は上記と同じ三種類のものを用いた.その結果,道具未把持時にはロボットの手首を曲げ,L字型道具のようなフック形状を作って引き寄せ動作を生成することを確認した.これはロボットが道具身体化を自身の身体で表現できる可能性を示唆している.本研究はロボットに道具使用方法を人間が設計せず,ロボット自身の経験から獲得することを目標としている.これにより,将来的には自律的に知識・行動を獲得するロボットの実現に貢献することが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は物体特徴量の自己組織化に関する精度を向上することを目標としている.MTRNNを用い,4種の物体動作を分類する特徴量を自己組織化することには成功した.しかし,それぞれの特徴量に意味づけ(例:重心移動,慣性主軸の変化など)をすることは課題として残っている.これらは次年度モデルを改良することで解決する必要がある.また,その応用として道具身体化モデルの構築に着手しており,基礎実験によって有効性を検証した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は物体特徴量について,よりロバストな自己組織化手法の開発に着手する.具体的には学習モデルの改良とロボット動作生成への応用を行う.それと並行して道具身体化モデルの洗練化を行う.道具身体化についてはより一般的な道具への適応性を検討し,道具の機能にも注目したモデルに発展する.これまでの研究同様,ヒューマノイドロボットであるアクトロイドを用いて実験を行い,視覚と触覚を統合した実験を行いたい.
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Research Products
(12 results)