2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23800035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 重成 京都大学, 先端医工学研究ユニット, 助教 (70604635)
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Keywords | TRPチャネル / 呼吸 / TRPA1 / 低酸素 / 高酸素 / レドックス / 迷走神経 / イオンチャネル |
Research Abstract |
申請者らはTRPA1チャネルが高酸素および低酸素刺激によって活性化することを見出している(Takahashi et al., Nature Chemcal Biology, 2011)。当該年度はこのような高酸素および低酸素刺激によるTRPA1チャネルの活性化が呼吸活動に与える影響を主に評価した。マウスの呼吸測定のエキスパートである桑木共之教授(鹿児島大学)との研究協力体制の下、Whole Body Plethysmography (Terada et al. J.Appl. Physiol. 2008)にて高酸素および低酸素ガスを吸入した際の呼吸活動の変化をTrpa1遺伝子欠損マウス(KO)マウスを用いて評価した。その結果、野生型マウスでは高酸素ガスを吸入すると呼吸回数は減少した一方、Trpa1 KOマウスではそのような呼吸回数の減少が認められなかった。また、野生型マウスに低酸素ガスを吸入させると呼吸回数は増大する一方、Trpa1 KOマウスでは10%02まで下げると野生型マウスと同等の呼吸回数の増大が認められたが、15%02吸入に伴う呼吸回数の増大は有意に抑えられていた。以上の結果からTRPA1は高酸素および15%02という比較的穏やかな低酸素の感知に重要であり、呼吸活動を変化させることにより体内に取り込む酸素の供給量を制御していることが明らかになった。一方、10%02の感知にはおそらくTRPA1非依存的な経路が重要であり、K+チャネルなどの低酸素感受性チャネルがその役割を担っている可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TRPA1による酸素感受性を示した論文がアクセプトされ(Takahashi et al., Nature Chemical Biology, 2011)、またその意義がin vivoにて示されたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
高酸素および低酸素ガスを吸入させた際の上喉頭神経、迷走神経、舌咽神経活動の計測をウレタン麻酔下にて行う。この際、Trpa1 KO、Phd KOマウスはどの神経活動が減弱しているのか評価する。本実験系は申請者が所属する研究室で行っている実験であり、研究遂行体制は整っている。また高酸素および低酸素ガスを吸入させた際の血中酸素濃度の測定もWT、Trpa1 KO、Phd KOマウスを用いて行う。本測定に関しても、桑木共之教授(鹿児島大学)との研究協力体制を確立している。また最終的にはもWT、Trpa1 KO、Phd KOマウスを用いて高酸素障害、低酸素障害の評価も行う予定である。
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Research Products
(4 results)