2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロピリン-1発現ナチュラルキラー細胞の乳癌治療における意義に関する研究
Project/Area Number |
23800036
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 栄治 京都大学, 医学研究科, 助教 (00612897)
|
Keywords | 乳癌 / トラスツマブ / ADCC / ニューロピリン |
Research Abstract |
我々はNRP-1発現免疫細胞はVEGFにより抑制を受けるという仮説のもと、(1)エフェクター細胞のNRP-1発現強弱による9CCへの影響をVEGF存在下で検討した。また、(2)パイロットスタディーとして乳がん患者PBMCのNRP-1発現状況についてその発現強弱の有無の確認を行った。(1)健常者のPBMCを詳細に検討した結果、予想されていた結果と異なりNK細胞にはほとんどNRP-1は発現しておらず、その一方で単球にNRP-1の発現が認められその発現に強弱も認められた。そこでFACSAriaを用いてNRP-1陽性単球とNRP-1陰性単球を分離し、この細胞をエフェクター細胞として使用し佃CCアッセイを行った。NRP-1陰性細胞ではトラスツズマブ投与にても細胞傷害活性は認められなかったがNRP-1陽性細胞は陰性細胞と比較して有意に細胞傷害活性が高かった。さらにrecombinant VEGFを添加するとこの細胞傷害活性はさらに増強された。この単球の形態観察によりNRP-1陽性細胞は球形で標的癌細胞を密に取り囲んでおり細胞傷害活性で得られた結果と合致していた。一方NRP-1陰性細胞は樹枝状の突起を有し形態学的にはマクロファージ様の形態へと分化している様子が確認された。(2)包括同意の得られた乳がん患者のPBMCを用いてNRP-1の発現状況をフローサイトメトリーで解析した。解析した患者6人のうち単球のNRP-1発現増強が認められたのは2人であった。さらにNRP-1発現陽性単球は化学療法後減少する可能性が示唆された。現段階では治療効果との相関に関する検討は行えていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験的研究に関しては当初予定したものと異なる結果が得られ、方向性の修正が必要であったが適切にその調整が行えていると考えられる。患者検体の解析に関してはパイロットスタディーにとどまっており予定よりやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ターゲットとなるエフェクター細胞はNK細胞から単球へと変更する必要があった。しかしその他の実験計画においては大きな変更の必要は現段階では認められない。単球は様々な形態の細胞へ分化することが知られておりより詳細な検討が必要になることが予測される。患者検体の解析に関しては患者検体バンクの整備も進んでおり軌道に乗れば症例数も蓄積され予定通り解析が進むものと思われる。
|