2011 Fiscal Year Annual Research Report
CD133陽性卵巣癌細胞の足場非依存的増殖に必須な新規分子機構の解明
Project/Area Number |
23800055
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
荒木 真理人 順天堂大学, 医学研究科, 准教授 (80613843)
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Keywords | 卵巣癌 / 足場非依存的増殖 / がん性幹細胞 / CD133 |
Research Abstract |
本申請課題では、がん性幹細胞マーカーCD133を不均質に発現する卵巣癌細胞株をモデルに用いて、CD133陽性卵巣癌細胞に特異的に見られる、足場非依存的増殖に必須な新規の分子基盤を明らかにすることを研究目的としている。 これまでに、CD133陽性卵巣癌細胞と陰性細胞の遺伝子発現を比較し、CD133陽性細胞に特異的に発現している遺伝子としてHEG(highly-expressed genes in CD133-positive cells)1から10を同定している。これらの遺伝子発現を抑制し、機能を明らかにする目的で、shRNAを発現するレンチウイルスベクターを作成し、CD133陽性卵巣癌細胞に導入した。次に、これらの細胞を用いて、足場非依存的増殖を調べる目的で、軟寒天培地中で培養を行なったところ、HBG1-3の発現を抑制した細胞では、コントロールに比べて、有為な細胞増殖の抑制が見られた。一方、HEG4-10については、現在のところ有為な変化は見られておらず、発現抑制が不十分である可能性が示唆された。 HEG1-3の発現を抑制した細胞は、通常の培養条件下でも、細胞増殖の抑制傾向が見られたことなどから、細胞増殖にもなんらかの役割を果たしていることが強く示唆された。次に、shRNAによる遺伝子発現抑制が、実際にHEG1-3遺伝子産物の発現を抑制し、これらの表現系として観察されるとういう点について、shRNAに耐性なHEG1-3遺伝子産物を発現させ、shRNAにより観察される表現系が弱くなるかを検討する回復実験を行なった。shRNAにより認識される配列に、複数のアミノ酸置換のない静的変異を導入することでshRNAに耐性になった遺伝子を発現させ、現在、耐性になるかを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、当初の計画通り、HEG1-10が、足場非依存的増殖に必須である遺伝である定義付けのための回復実験を行なっており、これにより、定義付けがなされる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、HEG1-3のうち、shRNAに耐性の遺伝子を導入する事により、shRNAに耐性になり、足場非依存的増殖能を回復した遺伝子を解析する。回復実験に用いたものと同様のシステムにより、エピトープタグを付与した遺伝子を細胞に導入し、エピトープタグによる発現の確認、免疫沈降、相互作用する蛋白質の同定を行なって行く予定である。
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