2011 Fiscal Year Annual Research Report
標的化ヘルペスウイルスベクターと抗体テクノロジーの融合
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23800058
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
内田 宏昭 東京薬科大学, 生命科学部, 准教授 (20401250)
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Keywords | ヘルペスウイルス / 遺伝子治療 / 腫瘍溶解ウイルス療法 / 抗体医薬 / 癌標的化治療 / 癌 |
Research Abstract |
癌の遺伝子治療・ウイルス療法では癌細胞のみにしか侵入できない標的化ウイルスベクターの開発を目指すべきだが、未だ実用化に至ったものはない。申請者らは最近、単純ヘルペスウイルス(HSV)の標的化システムを独自に樹立した。ウイルス表面の糖タンパクgDを本来の受容体に結合不能とすると同時に、上皮成長因子受容体(EGFR)など癌標的抗原に対する単鎖抗体を挿入した結果、標的細胞のみに侵入できる標的化ウイルスとなった.しかしながら、その標的細胞へのエントリー効率は野生型HSVが本来の受容体を介して侵入する効率に比べて著しく低いことが判明した。 申請者らは.方、ウイルスの指向性進化法を利用することにより、もうひとつ別の糖タンパクgBのハイパー変異を同定した。そこで、このハイパーgB改変と癌標的化gD改変を同時に施したダブル改変ウイルスを作製したところ、標的細胞へのエントリー効率が100倍増強し、野生型HSVの本来の受容体を介するエントリー効率にまで達した。 現在、標的化ヘルペスウイルスベクターの実用化を目的に、癌細胞のみにしか発現していない癌標的抗原およびそれを効率よく認識する標的化抗体の同定に取り組んでいる。本研究が成功すれば、癌細胞だけを狙い撃ちするHSVを実現でき、遺伝子治療・ウイルス療法の安全性と効果を革新的に高めうる上、癌標的化抗体そのものを抗体医薬として早期に実用化することも期待できる。すでに有望な癌標的化抗体を多種樹立することに成功し、その特性評価を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに有望な癌標的化抗体を複数樹立することに成功し、その特性評価を進める段階に至っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の成果に加え、癌標的化抗体の探索および樹立を進めていく。さらにその特性評価を行い、実用化を目指した研究を行っていく。
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