2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23800060
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
丸藤 祐子 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (60613932)
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Keywords | 動脈硬化 / 動脈スティフネス / ストレッチング / 柔軟性 |
Research Abstract |
体力を構成する3大要素は、「持久力、筋力、柔軟性」である。全身持久力や筋力が高いことは生活習慣病の発症、介護、死亡リスクを減少させるが、柔軟性がそれらリスクを減少させるというエビデンスはない。しかしながら、持久力や筋力のような体力とは独立して、身体が硬い(柔軟性が低い)人では血管も硬いということが横断的に明らかになった。この結果は、柔軟性は動脈硬化と関連する体力の一つであるかもしれないことを示唆している。柔軟性を向上させる運動様式として、ストレッチングがあるが、ストレッチングが動脈壁の硬化度に及ぼす影響は明らかでない。そこで本研究では、一過性のストレッチングが動脈壁の硬化度を低下させるかを検証した。健康な若年男女24名(23.8±0.5歳、男性11名・女性13名)を対象に、ストレッチング試行(1種目30秒、40種目)とコントロール試行の2試行をランダムに行った。動脈壁の硬化度を評価するため、運動前後において上腕-足首間の脈波伝播速度を測定した。2試行間でベースライン(運動前安静時)の上腕-足首間の脈波伝播速度には有意な差は認められなかった。コントロール試行では、運動前後で有意な変化を示さなかったが(ベースライン;1032±24vs.運動後;1037±23cm/sec,P>0.05)、ストレッチング試行では運動後で有意に低下した(ベースライン;1039±20vs.運動後;999±20cm/sec,P<0.05)。収縮期血圧、平均血圧、拡張期血圧は運動前後で有意な変化を示さなかった。以上の結果から、ストレッチングは一過的に動脈壁の硬化度を低下させることが明らかとなった。このことは習慣的なストレッチングによって柔軟性を向上させることは、動脈硬化の抑制につながるかもしれないということを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた実験は、全て終了し、充分な被験者数のデータを得ることができた。研究を遂行する上での問題も起きていない。データ分析も行い、学会などでの発表も決定している。来年度予定していた実験には着手していないため、計画以上に進展しているとは言えない。それゆえ現在までの達成度は予定通りであり、おおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策としては、予定していた残りの実験に早急に着手し、データを得ることである。そのために被験者のリクルートを積極的に行い、なるべく多くの被験者に協力してもらえるようにする。これまでの実験は、予定通りに進んでおり、研究計画の変更の必要はない。研究を遂行する上での問題も起きていない。今後実施するための実験設備などは全て準備できているため、予定されている実験を遂行するのみである。実験終了次第、データをまとめ成果を発表する。
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Research Products
(9 results)