2011 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツの地理教育における「人間―環境システム論」を導入したESD教材開発
Project/Area Number |
23800061
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山本 隆太 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助手 (80608836)
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Keywords | ドイツ / ESD / 地理教育 / 人間-環境システム / 教育スタンダード / 教員養成スタンダード / 系統地理学習 / 地誌学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本のESD(持続可能な発展のための教育)の教育実践を活性化させるために、ESD先進国であるドイツの地理教育に注目し、その理論および実践の分析を通じて、ドイツの現状と課題を明らかにすること、そして日本の地理教育におけるESDへの批判的示唆を得ることである。2011年度は、日本での文献収集および教育実践に関するヒアリング調査に加え、ドイツでの現地調査(2011年9月)を実施した。ドイツでは各種図書館における資料収集にあたるとともに、ハイデルベルク大学やベルリン自由大学の研究者を訪問し、ドイツの地理学および地理教育の史的展開と課題についてヒアリング調査を行った。その結果、1)ドイツでは地理教育に対して学会が与える影響が大きく、かつ近年はドイツ地理学会が教育スタンダード、教員養成ガイドラインを通じて地理教育に積極的に関与していること、2)「人間-環境システム」を地理教育の概念として中心に位置づけられていること、3)本システムは、自然地理と人文地理の観点に基づいた分析と、地理学としての統合というアプローチが用いられる学習理論であること、4)戦前のA.ヘットナーの地誌学スキームに基づく地誌学習から、1970年代の系統地理学習への転換に際して、システム学習として理論を発達させてきたという背景を持っていることが明らかになった。また、ドイツの抱える課題としては、システム学習理論の展開が不十分であることが挙げられるが、現在、教育心理学との協働を通じて、より実践的な学習理論の構築を目指している。日本の地理教育に対して、学会の地理教育への姿勢、自然地理と人文地理に対する分析と総合という視点、人間-環境システム論の導入による科目横断的アプローチを用いたESDの促進といった点が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドイツ研究出張において、各種図書館での文献収集、各大学での研究者のヒアリング調査によって本年度の目的を達成することができた。また、国内の研究者や行政機関担当者との連携を通じ、研究を進めるための基盤を整備することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した研究計画に従い、2011年度に構築した研究基盤を基に教材開発を行う。
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