2012 Fiscal Year Annual Research Report
320列マルチスライスCTによる健常高齢者と嚥下障害患者の喉頭閉鎖の検討
Project/Area Number |
23800064
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
稲本 陽子 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 講師 (70612547)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 摂食・嚥下障害 / 喉頭閉鎖 / 320列Area Detector CT |
Research Abstract |
320列Area Detector CT(以後320-ADCT)を用いて,嚥下中の誤嚥防止機構となる喉頭閉鎖の3事象(喉頭前庭閉鎖,声帯閉鎖,喉頭蓋反転)を観察し,加齢が嚥下動態に与える影響を検討した.さらに得られた健常データをもとに嚥下障害患者の嚥下動態を観察し,喉頭閉鎖不全の病態を検討した.若年群(20-39歳)23名・中年群(40-59歳)29名・高年群(60-77歳)15名および嚥下障害患者5名の嚥下動態を撮影し,舌骨前方上方挙上,軟口蓋挙上,喉頭閉鎖の3事象(喉頭前庭閉鎖,声帯閉鎖,喉頭蓋反転),食道入口部開大の運動開始・終了・持続時間および食塊移動時間を計測・比較した.各年齢群で嚥下動態の順序は一致していたが,運動開始,終了,持続時間に相違がみられ,年齢が嚥下動態に影響することが示された.高年群は若年,中年群に比し,軟口蓋挙上の開始が有意に早まり,軟口蓋挙上,喉頭閉鎖の3事象の終了時間が有意に遅延した.これらの事象は,高年群で嚥下中の咽頭収縮時間の延長を示唆し,加齢による咽頭収縮の低下を代償するものと考察された.また嚥下障害患者の一部で誤嚥や咽頭残留が観察された.嚥下中誤嚥を認めた症例では,喉頭閉鎖や声帯閉鎖開始の遅延を認め、その結果喉頭侵入から誤嚥に至った.また嚥下後誤嚥を認めた症例は,初回の嚥下時の咽頭残留が誤嚥の原因となり,この咽頭残留は咽頭収縮の低下によるものと考察された.嚥下中の喉頭の動きは従来の検査法では非常に観察困難であり,喉頭閉鎖のメカニズムについてはこれまで未解明であった.320-ADCTは3次元的に任意方向からの嚥下動態分析が可能であり,嚥下中の喉頭閉鎖の観察が可能である.本研究で,従来までは推定の範囲内であった健常者および嚥下障害患者の嚥下動態の理解がすすんだことは,今後,障害のメカニズムの理解や嚥下訓練法構築の前進となった.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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