2011 Fiscal Year Annual Research Report
心臓の機械的負荷への適応機構解明:カルシウム動態と冠微小循環リモデリング
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23800067
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
氏原 嘉洋 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80610021)
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Keywords | 心筋細胞 / カルシウム動態 / 心機能 / 冠循環 / 心肥大 / 心不全 / 機械的負荷 |
Research Abstract |
心臓は高血圧などの機械的負荷に対して心筋細胞を肥大させて応答し、機能を最適化している。この適応機構が破綻した状態が心不全であり、心肥大から心不全への移行に関わる因子として情報伝達物質としてのCa2+と、増大した酸素需要をまかなうための冠微小循環のリモデリングが重要であることが明らかになってきた。本研究は心機能、冠循環といったマクロレベルでの生理機能評価と、近年急速に明らかになってきた心肥大の分子メカニズムの情報を統合し、適応機構として個体に備わっている心肥大とその代償不全としての心不全をCa2+制御の面から階層的に理解しようとするものである。 本年度は、心肥大した心筋細胞の収縮・弛緩に伴うCa2+動態を観察するために、圧力負荷により心肥大を引き起こしたモデルマウスの心臓からの心筋細胞の単離方法および収縮・弛緩時におけるCa2+動態の観察手法を確立した。心筋細胞の単離に関しては、酵素処理の時間を調節することにより、実験に用いることのできる心筋細胞を安定して単離することが可能となった。細胞の収縮・弛緩時におけるCa2+動態の観察に関しては、時間分解能に優れたカルシウム蛍光指示薬Indo-1と高感度冷却CCDカメラを用いることにより、心筋細胞の変形挙動およびCa2+動態を詳細に解析することが可能となった。解析した結果、心機能の低下した肥大心に関しては、細胞レベルでの収縮率も低下しており、Ca2+動態に異常がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル動物の心臓から実験に用いることのできる状態の良い心筋細胞を安定して単離することが従来用いてきた単離方法では難しく、新たな単離方法の確立および技術の習得に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果により、単離した心筋細胞におけるCa2+動態の詳細な解析が可能となった.今後は、圧力負荷モデルマウスおよびCa2+輸送体の遺伝子改変マウスを用いた心機能、細胞内Ca2+ハンドリング分子の発現量や局在、Ca2+動態を中心に解析していく。
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