2011 Fiscal Year Annual Research Report
“極小規模離島村"における持続可能な博物館活動モデル構築のための実践的研究
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23800069
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
川宿田 好見 鹿児島国際大学, 就業力育成プロジェクト室, 就業力育成プロジェクト調査研究員 (40616166)
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Keywords | 博物館学 / 考古学 / 地域活性化 / パブリック考古学 / 博物館活動 / 離島 / 文化財 / 三次元レーザースキャナー |
Research Abstract |
本研究の主な対象である鹿児島県三島村の住民や関係諸機関等の理解を得るためパンフレット類を作成し、同村役場・村教育委員会に出向き本研究の主旨や実施内容の説明を行った。また、村内の小中学校の校長にも協力を求めたほか、折に触れて地元住民へも説明等を行うなどして、幸い理解を得ることができた。その上で、予備的調査で見出し基本的資料化を行っていた資料について、本研究に活用するためその整理等の作業を行うことともに、新たな埋もれた資料の発見のために聞き取りなどを実施した。また、三次元レーザースキャナを導入し、地元住民が所蔵する古代末~中世の滑石製石鍋をはじめとした資料について、三次元形状計測を実施した。これは万一の毀損・喪失に備え、レプリカ作成を容易にするだけでなく、精度よいデータを得ることで資料の価値を高めるのに役立ったと考える。住民の注意・理解を喚起するために説明や交流を行うよう努力し、2月には黒島の大里生活センターにおいて、研究協力者等の参加を得て本研究の説明会を住民を対象に実施し、同時に地元の考古資料の簡易展示も試験的に実施したが、非常に盛り上がりを見せ、協力の申し出があるなど効果があった。地元の文化財等の文化的資源を用いた博物館活動の重要性や、それが「極小規模離島村」の基本的な活性化を支えることになるという本研究の理念・計画の有効性が看取された。加えてアンケートも実施し、博物館等に関する体験や意識、また本説明会等の効果を測定する貴重なデータが得られるなど、多くの成果を得た。なお、研究の遂行過程で考古学・博物館学・民俗学等、関連諸分野の専門家の協力があり、また、教育委員会等の理解もあったことから、多くの資料の評価が可能となった。また、住民からの積極的な情報提供も見られるようになった。こうして平成23年度は、住民、専門家等との情報交換の基本的仕組み作りについても重要な進展があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
住民への聞き取りをはじめ考古遺物等の資料化等は、関係者の理解を得てほぼ順調に進展している。本事業の推進の前提として重要な住民の理解については、説明会や簡易展示の開催を含めて満足できる成果を挙げた。さらにアンケートの実施も進展するなど、次年度に向けての基礎固めができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に計画通りに推進する。本事業に関して住民その他の理解をいっそう進めるため、さらに説明・交流・実践を行っていくが、近く公開研究会を実施し本研究に資する。また、計画に基づき現地で住民主体の実質的博物館活動を実施するが、多方面からの支援を得て取り組み、十分な成果を上げたい。さらに、「極小規模離島村」での博物館活動モデルの構築のために、客観的なデータを得るなどの配慮をする。
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