2011 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトコンピューティングと誘電泳動による超早期白血病診断法の確立
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23800072
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Research Institution | Fuzzy Logic Systems Institute |
Principal Investigator |
江口 正徳 一般財団法人ファジィシステム研究所, 研究部, 研究員 (60613594)
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Keywords | 誘電泳動現象 / ソフトコンピューティング / 白血病 / 超早期診断 |
Research Abstract |
本年度は,誘電特性(誘電率および導電率)に基づいた白血病細胞同定のための特徴データを得るために,8.75%ショ糖液に1%リン酸緩衝液を加えた溶液中の正常な血液細胞(赤血球および白血球)と白血病細胞に生じる誘電泳動力の周波数特性(10kHz~50MHz)を測定し,その特性に基づいた白血病細胞の同定の可能性を確認した.また,この測定結果から赤血球および白血病細胞の高周波側のcross-over周波数(誘電泳動の符号が変化する周波数)は,50MHzよりも高い周波数帯域であることを確認した.これを測定するには高周波(50MHz~)用誘電泳動デバイスおよび高周波計測システムの導入が必要なため,現在,高周波用誘電泳動デバイスの設計,計測システムの構築中である. さらに,研究代表者らが開発したBottle neck Fork-trace(BF)電極を作製し,測定した誘電泳動力の周波数特性をもとに,赤血球と白血球の分離実験を行った.BF電極は,進行波電界によりチャンバー内に存在するすべての細胞をクリアフィールド(細胞分離エリア)へ搬送・収集させた後,誘電泳動を用いて細胞を分離するによって,特定細胞の高感度検出が可能な電極である.分離実験の結果,4相進行波電界(50kHz,3Vpp)により,チャンバー内の赤血球および白血球をクリアフィールドへ搬送し,誘電泳動(50MHz,10Vpp)により,白血球のみを電極エッジに捕獲することに成功した.この結果については,平成24年6月に開催予定の国際会議WAC2012で報告予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白血病細胞の同定に関しては,赤血球,白血球および白血病細胞に生じる誘電泳動力の周波数特性の測定を行い,その特性の違いに基づいたソフトコンピューティングによる同定の目途が立った.また,血液中の白血病細胞の分離に関しては,誘電泳動を利用することで,すでに赤血球と白血球,白血球と白血病細胞の分離に成功しており,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
白血病細胞の同定を高精度に行うためには高周波数帯域(50MHz~)における誘電泳動力の周波数特性を測定する必要がある.これに関しては,マイクロ波計測を専門とする所属研究機関の黒木太司主席研究員(呉工業高等専門学校兼務)の協力のもと高周波用デバイスの設計および高周波計測システムの構築を完成させ,高周波帯域の測定を行う.また,血液中から白血病細胞を検出するためには,多種類(赤血球,白血球,白血病細胞など)の細胞が存在する中から白血病細胞を分離しなければならない.これに関しては,予備実験としてBF電極を用いて誘電泳動と斜面重力を組み合わすことで,4種類のマイクロ粒子の分離に成功しており,この手法を適用することで実現する.
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