2011 Fiscal Year Annual Research Report
運動時の筋内エネルギー変化が酸素摂取動態に及ぼす影響
Project/Area Number |
23800076
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
有光 琢磨 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 契約研究員 (00616021)
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Keywords | 酸素摂取量 / 自由エネルギー / リン磁気共鳴分光法 / 筋エネルギー代謝 |
Research Abstract |
本研究は、運動時の酸素摂取量を増大させる因子を探ることを目的として、活動筋エネルギー代謝の変化と酸素摂取量の関係を検討するものである。 今年度は、健康な成人男性10名を被験者として、磁気共鳴装置(MRI)内と外で動的膝伸展運動を漸増負荷で疲労困憊に至るまで行わせた。大腿四頭筋を被験筋とし、筋内のクレアチンリン酸(PCr)濃度、無機リン酸(Pi)濃度、pHをリン-磁気共鳴分光法(31P-MRS)で測定した。また、運動時の酸素摂取量を測定するため、MRI装置外で同様の実験を行わせ、breath-by-breath法で測定した。同時に、大腿四頭筋の活動度を表面筋電図より導出した。 疲労困憊時のPCrは、ほぼ枯渇していた。酸素摂取量は、運動強度の増大に伴い線形的に増大していた。表面筋電図より導出した積分筋電値は、運動開始時と比べて有意に増大していたが、平均周波数は有意に減少していた。31P-MRSから算出した活動筋内の自由エネルギーは、安静時と比べて疲労困憊時において有意に減少していた(p<0.05)。 以上の結果から、運動強度の増大に伴い、活動筋内のエネルギー出力は減少し、それを補うように筋動員の増大が生じていることが推察される。また、自由エネルギーの減少に伴い酸素摂取量は増大する傾向が見られた。今後は、運動時の酸素摂取量の増大と自由エネルギーの変化に焦点をあて、異なる運動プロトコルでの関係や予め代謝状況を変化させた運動時の活動筋内の状況と酸素摂取量の関係を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、運動強度の増大に伴う活動筋内エネルギー量が減少することを明らかにできた。しかし、異なる運動形態での酸素摂取量の増大分(過剰酸素摂取量との関係性)までは明らかとなっていない。これは、今年度遂行した実験のスペクトルのデータのノイズが想像以上に大きかったことから対応に後れを取ってしまったことも要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、運動強度の増大に伴い、活動筋内のエネルギー出力は減少し、それを補うように筋動員の増大が生じていることが示唆された。また、自由エネルギーの減少に伴い酸素摂取量は増大する傾向が見られた。 そのため、運動時の酸素摂取量の増大と自由エネルギーの変化に焦点をあて、一定負荷運動時の酸素摂取量との関係、および前運動で活動筋内代謝状況を変化させた運動時のエネルギー状況と酸素摂取量の関係を明らかにしていく。
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