2012 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカ国境地域における地域紛争への介入と多民族共生社会の形成
Project/Area Number |
23810018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐川 徹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (70613579)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 多民族共生 / 平和構築 / 地域紛争 / 牧畜社会 / 東アフリカ |
Research Abstract |
本研究の目的は、低強度紛争が頻発する東アフリカ国境付近の牧畜社会を対象として、外部アクターによるいかなる介入が地域社会の有する平和に向けたポテンシャルを活性化していくことができるのかを検討し、地域に多元的な共生社会を実現していくための方途を探ることである。 本研究では、エチオピア西南部にくらすダサネッチと近隣集団との和解の促進を目的としたエチオピア政府やローカルNGOの活動に焦点を当てた現地調査をおこなった。そこから明らかになったのは以下の点である。①政府らはドナーから「平和構築」を目的とした資金供与を受けているため、近年になって積極的に紛争解決や平和維持のための介入をするようになったこと、②和平会合の場では「地域の伝統」を重視するという名目のもとに「伝統儀礼の復活」に重きを置いた活動をおこなっていること、③しかし地域の牧畜民は儀礼自体には重きを置かず、むしろ儀礼の実施に時間を割き過ぎて、人びとが対面して話しあい、集団境界を越えた友人関係を形成する時間を減らしてしまっていること、④地域の平和維持に資するとされる武装解除をめぐって会合の場で政府と牧畜民との対立が表面化したこと。 また、政府らは地域の平和維持の必要性を主張しながら、他方で新たな紛争の火種となりかねない「上からの」大規模開発プロジェクトをつぎつぎに実施している実態も明らかとなった。具体的には商業農場の建設、ダムの建設、石油採掘の三つである。いずれも、適切な補償を支払わないままに、牧畜民の土地や水資源へのアクセス権を奪う開発プロジェクトである。結果として地域の資源は稀少化し、近隣集団や地方政府との間に新たな武力紛争が勃発する危険がつよまりつつある。 今後はこれらのプロジェクトが地域社会に与える影響を精査し、「開発をとおした貧困削減が平和維持に貢献する」という政府の主張の実現可能性を注視していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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