2012 Fiscal Year Annual Research Report
先端分析技術による,脳微小領域における虚血に応答した生理活性分子の探索と可視化
Project/Area Number |
23810027
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉浦 悠毅 慶應義塾大学, 医学部, その他 (30590202)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 質量分析 / 神経科学 / 脳梗塞 / 虚血 / 代謝 / 死後分解 |
Research Abstract |
生体には多様な生体反応を制御する強力な生理活性を持つ低分子が存在する.これらの異常な増大,減少は様々な重篤な疾患を惹起するが故に,疾病組織における活性分子群の産生および拡散の実態解明は重要である.本研究提案では,質量分析技術と微小組織採取装置を駆使し,既知または未知の活性代謝産物の”局所”動態を解明する. 前年度では目標達成ために必要な要素技術a-bを確立した. (技術a)マイクロウェーブによる酵素瞬時不活化 (技術b)イメージングMS/MSの適用 当該年度は上記を用いて虚血に応答した代謝因子群の産生拡散マップを作成した。これらの分布情報を統合/再構成することで細胞が酸素を消費する好気的代謝から,酸素を消費しない嫌気的な代謝へシフトした領域を画像として取得する事ができた.すなわち,個体臓器内において、ある特定の細胞が好気or嫌気呼吸を行っているかを画像化し、その領域拡大を評価することができた. 脳血管が閉塞し,神経系を構成するニューロンまたはグリア細胞が低酸素状態に曝されると,これらの細胞は通常状態とは異なるエネルギー代謝を行う.この異常な代謝の結果産生される代謝産物は,細胞外へと放出されニューロン脱落の一因となる.本研究によって梗塞巣中心に位置する細胞が著しい嫌気代謝を行い,特にグリア細胞が嫌気的呼吸に陥った結果,障害性の代謝因子を大量に放出していることが分かった.そのような因子の一例として乳酸が挙げられ,さらにこれ以外にも未知分子を含めた病態を悪化させる候補因子を得た.これらの産生量と拡散の領域を評価した結果、脳梗塞後に重篤な機能不全をもたらす炎症遷延化領域と相関を示した。遷延化した炎症組織領域の細胞は低酸素状態に置かれていることが知られているが、本研究においてこのような低酸素代謝は単なる付随的事象ではなく、炎症遷延化を誘導する因子とである事を示す知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)