2012 Fiscal Year Annual Research Report
アルジェリア及びチュニジアに対する欧州近隣政策-非対称地域協力の政治過程-
Project/Area Number |
23810028
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
桃井 治郎 中部大学, 人文学部, 講師 (40410667)
|
Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
|
Keywords | アルジェリア / チュニジア / EU |
Research Abstract |
本研究では、1995年以来、欧州・地中海パートナーシップ(バルセロナ・プロセス)の枠組みで進められてきたEUの地中海近隣国に対する政策について、特にアルジェリアとチュニジアを事例に地域統合組織(EU)と第三国各国という非対称なアクター間の協力関係構築の政治過程を分析することを目的とした。調査は、関連文献調査と現地での聞き取り調査を行った。 EUと地中海諸国各国は、バルセロナ・プロセスの一環として欧州地中海連合協定を締結し、その実践にあたっている。同協定は、自由貿易圏の創出という側面のみ注目されることが多いが、そもそもバルセロナ・プロセスは政治・経済・社会面に及ぶ包括的パートナーシップを指向しており、その目的はEUによる近隣諸国すなわち地中海諸国への「EU化」と見なしうる。例えば、2000年以降市場開放政策をとっていたアルジェリアが、国内産業の不振に直面し、2009年以降、外国投資規制を行うなど保護主義政策に転換した際には、EUが連合協定違反であるとしてアルジェリア政府を批判した。 ただし、地中海諸国側も単にEU側の要求を受け入れるというわけではない。アルジェリアのケースでは、結局、EUは建前上は政策転換を批判しつつも、実際にはEU各国がアルジェリアの法制度の下で積極的に企業活動を展開した。その背景には同国のエネルギー資源における潜在性の高さなどがあげられるが、このことは、現在のヨーロッパ=北アフリカ関係が19世紀までのような一方的な「文明化」が行われる状況ではないことを示している。もちろん、チュニジアのような小国の場合にはより不均衡な関係が存在するという課題も残るが、むしろ積極的意義を強調すれば、バルセロナ・プロセスは、非対称なアクター間の関係ではあるが、結果的には従来の南北関係を転換し、より対等な関係を構築するための国際レジームという観点も見いだすことができる。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(3 results)