2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNA上での修復タンパク質実時間計測を目指すハイスループット一分子計測デバイス
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23810034
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新田 英之 名古屋大学, 理学研究科, 特任講師 (00582446)
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Keywords | MEMS / DNA / 一分子計測 / ハイスループット |
Research Abstract |
本研究の目的は、DNA上をスライドするタンパク質の実時間計測を実現するため、バイオMEMSと一分子生物物理双方の知見と技術を融合したハイスループット一分子操作・計測デバイスを開発することである。具体的には、ナノチャネルなどの微細構造を用いて基板上に自動的に並列伸長した多数のDNA上で蛍光修飾したタンパク質の物理的運動を実時間計測することを最終目標としている。 本年度は、デバイスを設計するにあたり、DNAが一本だけ挿入され、適度な伸長度合いを保つナノチャネルの幅と高さ、またはDNAが一本も挿入されないための最大企画等の予測値を、deGennesの法則を用いて算出した。その理論値をもとにデバイスの形状を設計し、加工したシリコン基板とガラス基板とをボンディングすることにより、マイクロチャネルとナノチャネルを組み合わせたデバイスを製作した。そのデバイスを用いた検証実験で、マイクロチャネル内のλDNA分子(長さ15μm)は空洞の親水性ナノチャネル(幅10mm、高さ100mm)内へ1本ずつ、毛管力(キャピラリーフォース)により無動力で侵入することが確認された。またマイクロチャネルへつながる出口付近で自動的に停止する現象も認められた。 相同組み換え蛋白質など、DNA結合タンパク質のDNAとの相互作用は、生物学や生物物理学の分野において長年最も活発に議論が交わされてきた課題の中の一つである。また近年では腫瘍学などとの関連から医療の分野からも注目を集めてきている。そのため、癌や製薬の研究にとっても重要な課題となってくるであろう。このように当研究は他の学術分野に影響を与える純粋科学的価値のある研究成果を生み出すのみならず、人工DNA修復技術、癌治療、遺伝病治療などの新技術の創生のためにも大変重要な知的資産を形成する可能性を秘めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であるナノチャネルデバイスの設計・製作と、DNAによる検証実験やその追加実験にも成功しているため、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノチャネル内でのDNAの挙動をより正確に制御するため、異なる種類、長さのDNAを分離し、同じ長さのDNAを回収することも必要な要素である。そのため、DNA結合タンパク質とDNAの相互作用実験の準備と並行し、ナノチャネル内でDNAを、主に長さに依存して分離する技術の確立も行う。
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