2012 Fiscal Year Annual Research Report
清末士大夫官僚の対内・対外認識の新研究――郭嵩トウの「風俗」観念
Project/Area Number |
23820007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 泰教 東京大学, 人文社会系研究科, 助教 (50610953)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 郭嵩燾 / 対内・対外認識 / 風俗 / 清末 / 士大夫 / イギリス史 / アソシエイション |
Research Abstract |
本研究は、清末期に初代駐英公使等を務め、独特な西洋理解、中国批判を行った郭嵩燾の「風俗」観念に着目し、清末士大夫の対内・対外認識の解明を目指した。本研究の課題は、(1)咸豊期の郭の徴税論と風俗観念の関係、(2)同治期の郭にとっての外交と風俗観念の関係、(3)光緒初期、郭が風俗という観点から描いた西洋近代社会、(4)光緒中期、湖南で行った風俗改良グループ結成の意味であり、平成24年度は、23年度の研究成果の公表、(3)(4)の解明、そして(1)~(4)の連結作業を行った。23年度の成果の公表としては、郭の『大学』『中庸』解釈についての論文を『孫文研究』に発表した。(3)については、郭が駐英公使時期に、西欧の各種アソシエイションに関心を示したことに注目し、関連する英文資料の読解に努めた。以上の成果は、日本現代中国学会にて報告した。(4)については、郭が結成した禁煙公社の実態を解明した。当初、湖南省等での実地調査を予定していたが、多くの刊行史料が活用できることが判明、その読解に労力をかけた。最後に(1)~(4)を連結し、以下の結論を得た。郭の対内・対外認識の中心課題は、士大夫たちがいかにして合意を形成するかということであった。郭によれば、中国で風俗が悪化し秩序が乱れるのも、士大夫が明確な合意を持たず、党派争いにあけくれたことに原因があった。一方興味深いのは、こうした問題意識から西洋を捉えたことで、議会制やアソシエイションが為政者同士の良好な関係をはぐくむ装置だとする、ユニークな見解が導き出されたことである。以上、清末士大夫が西洋をも視野に入れつつ自身の課題に取り組んでいたことを解明した。なお24年度は、研究成果を広く中国近代史像の構築にも役立てようとし、その一環として幅広い層の参加する中国近代通史の書評会にて報告、後に『近代中国研究彙報』で成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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