2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23820014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永澤 済 東京大学, 人文社会系研究科, 助教 (50613882)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 日本語史 / 言語接触 / 古文書 / 漢文 / 日本漢文 / 和化漢文 / 文法 / 語彙 |
Research Abstract |
古文書は、文学作品等と比べ、日本語史資料としての研究が遅れている。本研究は、実用書記日本語の一級資料でありながら日本語研究の資料として用いられることが少なかった「古文書」による日本語史研究を企図するものである。 本年度は、昨年度から引き続き『鎌倉幕府裁許状集』所収の裁許状を主な資料とし、分析を進めた。本年度特に重点を置いたのは、正格漢文と日本式漢文の、文法面における異同を明らかにすることであった。日本式漢文とは、漢字のみで書かれながらも文法や語彙に日本語の影響がみられる漢文で、日本語史や言語接触の観点から興味深い言語資料である。 分析として、裁許状一通一通にあたり、統語的特徴(語順・修飾構造等)や助動詞の用法等が、いかなる点で正格漢文と共通し、いかなる点で異なっているのかを用例に即して検討した。特定の文法形式を網羅的に調査する必要がある場合には、電子データを用いて用例を一括収集し、数量的分析を行った。以上の成果は、公表の準備を進めている。 昨年度の成果を論文にまとめる過程において、各文書の文脈をより詳細に特定する必要が生じた。そのためには、当時の時代・社会的状況、成文法、慣習、裁判制度など、文書中には必ずしも明示されない背景知識が不可欠であることから、言語学・日本語学の枠を超え学際的に研究を進めた。日本史・法制史学等の研究成果にあたるとともに、各分野の研究者の協力を得て、各古文書の内容を正確・精密に把握することに重点を置いた。 以上の「漢文」研究と並行し、仮名文書(主に鎌倉時代)の言語学的活用についても考察を進めた。それらが当時の口語を反映した貴重な言語資料であることを再確認したと同時に、文書中の各種の語が何を指すものかを特定することが今後の重要な課題であると認識した。 科学研究費補助金は、主として以上の調査と資料収集のための図書・資料の購入および複写費用として活用した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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