2012 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア帝国併合期の中央アジアにおけるタリーカの研究
Project/Area Number |
23820017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河原 弥生 東京大学, 人文社会系研究科, 研究員 (90533951)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 中央アジア / タリーカ / スーフィー教団 / マザール / ロシア帝国 |
Research Abstract |
平成24年度においては、平成23年度に出版した史料集『Private Archives on a Makhdumzada Family in Marghilan(マルギランにおけるマフドゥームザーダ一族に関する民間所蔵史料)』にもとづき、ロシア帝国併合前後のフェルガナ盆地におけるタリーカの実態を分析し、英語論文にまとめた。具体的には、本史料集に含まれる一族の系譜書、君主からの勅令、土地売買に関する証書、聖者伝と、ウズベキスタンの文書館に所蔵されるロシア帝国のフェルガナ州統治に関わる行政文書を用いて、一族の東トルキスタンからの到来とコーカンド・ハーン国政権との関係の樹立、経済的勢力の拡大過程を明らかにし、その上で、19世紀に生きた一族の一員ワリー・ハーン・トラがハーン国末期にロシア軍に対して起こしたいわゆる「聖戦」と、ロシア当局による彼の処遇について考察した。「聖戦」は完全な失敗に終わり、コーカンド・ハーン国はロシア帝国に併合されたが、その後ロシア当局が彼をハーン家との姻戚関係を理由に免罪したことは、ロシア側が暴動の鎮静化の一方で、現地ムスリム社会の秩序の維持を重視した姿勢を表しており、その後のロシア当局の中央アジア統治を考える上でも興味深い。 また、19世紀前半における中央アジアのタリーカの動向に詳しいコーカンド・ハーン国の歴史書『選史』(ペルシア語)の校訂本の改訂版をイランで出版する目処がたったので、詳細な英文解題を執筆した。 なお、当初予定していた海外調査は、事情によりいずれも実施できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)