2011 Fiscal Year Annual Research Report
共生の観点からみる中世後期ドイツ都市における聖職者の役割-教区主任司祭を例に
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23820018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 晶子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教務補佐員 (70608653)
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Keywords | 西洋史 / 中世史 / 都市史 / 社会史 / 都市と協会 / ドイツ |
Research Abstract |
本研究は、長らく中世ドイツ都市史研究において法的特権を持つ聖職者は都市の中の異分子とみなされ、対立の構図で描かれてきた都市と聖職者の関係の再考を目的としている。近年受け入れられつつあるB.メラーが示した「(注:市参事会は市民の宗教世活にも責任を負っているという意味での)聖なる共同体」という概念に基づき、共生的関係という観点から都市と聖職者の関係を捕らえ直し、新しい中世都市社会像を提示する。 教会組織の末端に位置する教区主任司祭に関しては、従来あまり研究がなかったが、申請者は帝国都市ニュルンベルクを例に刊行史料を用いて-目独において初めて-教区主任司祭のほとんどが法学の学位を持ち、都市使節として外交活動に係わっていたことを明らかにした。本研究では未刊行史料を用い、さらに教区主任司祭の活動内容の詳細を追っている。主な史料はバイエルン州立文書館Staatsarchiv Nurnbergにあるニュルンベルク市参事会外交文書集Briefbucher des Inneren Rats(1408~1738年、359巻)の内、宗教改革が開始される1524/25年までの文書である。同文書館は史料のデジタル化を進めておらず、またインターネット上での目録の公開も行っていないため、約1カ月間ニュルンベルクで史料調査を行った。ホームページには同文書の1575年分まではカード式の索引があるとされていたが、実際に訪れたところ、この索引は不完全で、対象期間全ての文書を閲覧する必要があった。しかし今年度は半分以上に当たる1477年までの調査を終えることができた。またドイツでは本研究に関係のある5名の中世史研究者と面談し、有益な情報・意見交換が行えた。 帰国後は複写した史料の読解と分析、二次文献の精読を行っている。また中間報告として来年度6月に開催される西洋中世学会第4回大会のポスターセッションを選び、準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度と24年度でドイツにおける史料調査で、バイエルン州立文書館Staatsarchiv Nurnbergに保存されているニュルンベルク市参事会外交文書集Briefbucher des Inneren Rats(1408~1738年、359巻)の内、1408年~宗教改革導入1524/25年分の文書を調査する予定であるが、今年度の調査で半分以上の1477年まで調査が完了できたので。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、4月から6月にかけては前年度に引き続き史料の解読、分析作業と二次文献の精読を行い、6月24日に慶應義塾大学にで開催される西洋中世学会第4回大会ポスターセッションにて、本研究の中間報告を行う。8月半ば~9月末の約6週間、ドイツ、フランスに渡航し史料調査を続きを行う。帰国後は残りの史料の解読と分析を進め、今回の研究成果について雑誌論文への投稿、研究会等での報告の形で積極的に行う予定である。
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Research Products
(1 results)