2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23820022
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
大滝 宏一 三重大学, 共通教育センター, 特任講師(教育担当) (50616042)
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Keywords | 項削除 / 格 / ヒンディー・ウルドゥー語 / 言語獲得 |
Research Abstract |
平成23年度は、主に以下の2点について研究を進めた。 (1)ヒンディー・ウルドゥー語における項削除の可否についての資料収集 本研究で主張する、項削除と格の形態的特徴との関連を調べる上で重要となる、ヒンディー・ウルドゥー語における項削除の可否を調査した。具体的には、研究代表者が運営委員の一員として関わる、平成23年9月に三重大学で開かれた国際学会「GLOW in Asia Workshop for Young Scholars」に招待講演者としてお招きした、インドのJawahar Lal Nehru UniversityのAyeshaKidwai教授と本研究に関してミーティングを持ち、ヒンディー・ウルドゥー語における項削除の可否について議論し、データを提供していただいた。Kidwai教授が帰国後も電子メールで議論を重ね、インドで話されているヒンディー・ウルドゥー語以外のいくつかの言語についても項削除に関するデータを収集した。また、諸言語の文法書や理論言語学に関する本を購入し、様々な言語でどのように項削除と格の形態的特徴が関連しているのかを調査した。 (2)平成24年度に行う幼児言語獲得実験の準備 本研究補助金の執行が9月ということもあり、幼児言語獲得実験に関しては当初の計画通り、機器の購入などの準備期間に当てた。具体的には、アニメーションを使用して刺激を提示するため、刺激を作成する際に必要となるペンタブレット・デジタルカメラを購入した。また、刺激を提示する際に必要となるパソコンやスピーカー等を購入した。さらに、実験で使用するマテリアルの検討・作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
項削除と格の形態的特徴との関連を明らかにするという本研究の目的を達成するため、これまで先行研究で扱われてこなかったヒンディー・ウルドゥー語における項削除についてのデータを、当初の計画通りに平成23年度に集めることができ、また、平成24年度の行う予定の幼児言語獲得実験の準備もほぼ済ませることができたので、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、日本語を母語とする子どもがどのように項削除を獲得するのかを調べるために、4歳児から6歳児を対象にした言語獲得実験を行う予定である。実験の準備は平成23年度にほぼ済ませているが、実験を行う幼稚園がまだ決定していないので、津市役所などとも相談し、できるだけ早く受け入れ先を探し決定するようにする。また、項削除の通言語的分布に関しても引き続き調査し、項削除と格の形態的な特徴との関連を調べ、言語間の違いになぜそのような制約が存在するのかを説明する言語理論の構築を目指す。
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