2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23820022
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
大滝 宏一 三重大学, 共通教育センター, 特任講師(教育担当) (50616042)
|
Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
|
Keywords | 項削除 / 格 / 言語獲得 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本語や韓国語のような言語に観察される「項削除」の獲得を理論・実証の両面から明らかにすることである。理論的には、Neeleman and Szendroi (2007) による空代名詞の分析を参考に、「格の形態的特徴が融合的ではない言語においてのみ項削除が許される」という新しい一般化を提案し、なぜこのような一般化が通言語的に成り立つのかを説明した。特に、「動詞と目的語の一致」と「項削除」を同時に示すヒンディー語やバスク語のような言語は、これまでの一致現象に基づいた分析にとっては問題となるが、本研究の提案では、これらの言語は日本語と同様に非融合的な格を持つため項削除を許すと正しく予測できることを示した。 また、これまでの言語獲得研究において、日本語の格助詞の獲得は非常に早いと報告されていることを考えると、格の形態的な特徴と項削除の可否とを結びつける本研究の提案は、子どもが実際に項削除に関して受け取ることのできる経験は乏しいにもかかわらず、項削除の知識を早くから有していることを予測する。この予測を確かめるために、日本語を母語とする5歳児・6歳児20人を対象に実験を行った。この実験では、子どもたちは削除現象の一つの指標である「緩やかな同一性解釈」に関しておとなと同様の振る舞いをすることが明らかになり、日本語を母語とする子どもが比較的早い年齢から項削除の知識を持っていることを示す結果となった。子どもが実際に項削除に関して受け取ることのできる証拠はほぼ皆無であるという事実を考えると、この実験の結果は、格助詞の獲得が項削除獲得の引き金になると提案する本研究の理論を支持するものであると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(2 results)