2011 Fiscal Year Annual Research Report
所有とジェンダー:フォークナーとハーストンの小説の比較研究
Project/Area Number |
23820034
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山内 玲 香川大学, 教育学部, 講師 (60609874)
|
Keywords | アメリカ文学 / フォークナー / ハーストン / 人種 / ジェンダー / 階級 / アフリカ系アメリカ人 |
Research Abstract |
フォークナーとハーストンの小説の比較研究を行うにあたり、両者の代表作であるAs I Lay Dying とTheir Eyes Were Watching Godを所有とジェンダーというテーマからそれぞれ個別に研究を進めることが平成23年度の目的であった。 当初の計画で行う予定であった「As I Lay Dyingにおける所有とジェンダーの考察」に関しては、必要な文献の入手ができなかったので、研究期間を延長することに変更した。 他方、Their Eyes Were Watching Godの研究に関しては、概ね予定通りに進行している。代表的な先行研究の調査を行ない、所有というテーマに付随する階級という問題を研究テーマの文脈に位置づけるとともに、先行研究では検討されてこなかった同時代の黒人中産階級の男性性の変化という論点を示し、本研究の独自性と意義を明らかにすることが確認された。また所有の問題の黒人男性に対する影響については作品論の枠組みを超えて論じられてきたところであるが、所有する黒人女性という問題系は、女性が所有の対象とされてきた歴史を持つというフェミニズム批評の影響の下、十分に論じられてこなかった問題であり、その点に対して光を当てるという意味でも本研究の意義があると言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予想を超える学内業務の増加で春期休暇の期間が十分に研究に理由できなかったことに加え、2012年1月に突発性難聴を患い、その治療で研究が進まなかった。また科研費助成の申請時には入手可能だった資料が、助成金が使用可能となった11月には入手不可能となり、当初予定していた研究の成果発表を先送りにせざるを得なかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
フォークナーの研究に関しては、事前に研究調査のポイントとなる点を抑えたうえで、長期休暇を利用して、必要な資料のある図書館で調査を進める。他方、ハーストンの研究に関しては、まだ未読の先行研究の文献を読み進めつつ、研究成果の公表のために学会発表に向けて準備を行なう。
|
Research Products
(2 results)