2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23820038
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
新名 隆志 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (30336078)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 西洋哲学 / ニーチェ / 悲劇の誕生 / ツァラトゥストラ / 永遠回帰 |
Research Abstract |
今年度は本研究課題の目的に即して二本の研究論文を著した。「ニーチェにおける悲劇の快の変容」は、主に研究目的4)「処女作『悲劇の誕生』期の思想と永遠回帰着想後の後期思想との断絶と連関を、「力」の論点から新しい形で鮮明に描く」に即した内容である。本論文では、平成23年度西日本哲学会大会における発表「悲劇の快をめぐるニーチェ思想の決定的転回」の内容をさらに洗練し、悲劇の快の解釈がニーチェの一貫した主題であることを明確にした上で、初期と後期のその解釈の差異を「審美的快」から「力の快」への変化として鮮明に描いた。さらに本論文の解釈の意義を最新のニーチェ研究との比較において示した。また本論文のこのような内容は、研究目的2)「「力の快」の観点が両中心思想の解釈史上の諸問題の多くを解決に導くことを示す」にも大きく寄与するものである。 「「酔歌」、「救済について」、「幻影と謎」の新たな解釈――永遠回帰の肯定とは何か」は、主に研究目的3)「両中心思想の解釈をベースとして主著『ツァラトゥストラ』の新しい作品理解を提示する。重要な比喩的形象やモチーフについて、従来にない解釈を示す」に即した内容である。本論文は、研究史上『ツァラトゥストラ』の中でも永遠回帰解釈にとって特に重視されてきたテキストに着目し、従来の通説的なテキスト解釈を批判し新しい解釈を示すことによって、永遠回帰思想の核心に迫るものである。そこで示された内容は、本研究課題がニーチェ中心思想の鍵概念として想定している「力の快」の論点をニーチェの主著の新解釈によって浮き彫りにするという、非常に重要な意義を持つものである。またその点において、研究目的1)「永遠回帰・力への意志について緻密なテキスト読解を行い、近年の研究成果で提示した「力の快」に定位する解釈をより説得的な形で提示する」にも大きく寄与するものである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)