2012 Fiscal Year Annual Research Report
コーパスに基づく『元朝秘史』モンゴル語漢字音訳方式の研究
Project/Area Number |
23820042
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
孟 達来 島根県立大学, 総合政策学部, 助手 (40609913)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 元朝秘史 / コーパス / モンゴル語 / 漢字音訳 |
Research Abstract |
平成24年度の研究実績の概要は、以下の通りである。 1.『元朝秘史』の音訳において、表記対象となるモンゴル語音が漢字の原音で正確に表記できない場合や、表記対象となるモンゴル語の音節が漢字1字の音節構造で表し切れない場合、より正確な音表記を成すため、特殊表記の手法を用いていたことを指摘し、コーパスに基づく分析から、特殊表記方式による音表記は、『元朝秘史』の全ての音表記の約25%を占めることを明らかにし、且つ全巻に亘る特殊表記の用例を考察することを通して、特殊表記の規則を記述した。その結果を論文にまとめ、『北東アジア研究』(島根県立大学北東アジア地域研究センター紀要)に投稿し、現在印刷中である。 2.『元朝秘史』の音訳における漢字の意符をモンゴル語の意味に合わせるやり方について、コーパスを用いて網羅的に調査し、音訳に関与した18種類の漢字意符を確定したうえ、用例の中での分析を行い、18種類の漢字意符の音訳における機能・役割を記述した。 3.昨年度に引き続き、『元朝秘史』における音訳漢字の使い分けを分析し、記述した。コーパスに基づく分析から、『元朝秘史』において、全581種類の漢字で376種類のモンゴル語音が表記され、全807種類の音対応を形成していることを明らかにし、更に、音訳において成り立つ全807種類のモンゴル語音と漢字との対応関係を「1:1」「1:N」「M:1」「N:M」という4つのカテゴリに分類して考察を行い、音訳漢字の使い分けを検討した。その結果、漢字音訳方式を基本音対応、意符、字義、文法的用法、末子音対応における声調関与、特定用字、巻毎の偏在、誤用など想定できるほぼすべての要因で全807種の対応関係を分類し、『元朝秘史』におけるモンゴル語漢字音訳方式の全体像の把握に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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