2012 Fiscal Year Annual Research Report
陸九淵『象山先生文集』の新資料:北京大学図書館所蔵本から近世東アジアをとらえ直す
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23820045
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
中嶋 諒 学習院大学, 付置研究所, 研究員 (80614726)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 中国哲学 / 思想史 |
Research Abstract |
本年度、研究代表者は昨年度に調査した北京大学図書館所蔵『象山先生文集』がいかなる刊本かを明らかにするために、多くの陸九淵関連資料を調査することとした。具体的には、2012年9月1日より4日まで中国瀋陽の遼寧省図書館へ、また10月6日に大阪府立中之島図書館へおもむき、調査をおこなった。 とりわけ大阪府立中之島図書館では、これまで全く注目されることのなかった『象山先生語録』(請求番号:甲漢77)を閲覧、複写し、そこに北京大学図書館所蔵『象山先生文集』に見える陸九淵九世の孫裔「陸時寿」の名が刊行者として明記されていることを発見した。この「陸時寿」なる人物の名は、昨年度の北京大学図書館での調査の際にいくらか調査をしたものの、全く手がかりがつかめず困窮していたが、この発見を機に、調査の糸口をつかむことができた。なお明の万暦25(1597)年に刊行された『陸象山先生集要』には、陸九淵の『文集』『語録』『年譜』をあわせて「三書」とし、この三書を成化年間(1465~1487)の刊本とする記述が見えるが、上述した陸時寿刊行の北京大学図書館所蔵『象山先生文集』、及び大阪府立中之島図書館所蔵『象山先生語録』こそが、おそらく『陸象山先生集要』にいう成化年間の『文集』『語録』なのであろう。さらに中国国家図書館に所蔵される別の『象山先生文集』の刊本や、その他多くの陸九淵関連資料を調査した結果、北京大学図書館所蔵『象山先生文集』は、成化年間よりもさらに時代を遡る可能性のあることも明らかにした。 以上のこともふくめ、昨年度からの成果を『『象山先生文集』の諸本について』と題する研究報告書(全78頁)にまとめて、2013年2月28日に刊行し、国内外の研究者や研究所等に寄贈することとした。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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