2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国最初の初期王朝はなぜ洛陽盆地に誕生したか?―二里頭文化の生業・経済基盤を探る
Project/Area Number |
23820046
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
久慈 大介 学習院大学, 東洋文化研究所, 研究員 (70614725)
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Keywords | 考古学・中国考古学 / 環境考古学・環境史 / 先史学・人類学 / 地理学・歴史地理学 / 東洋史・中国史 / 二里頭遺跡・二里頭文化 / 夏王朝・初期王朝 / 生業・経済基盤 |
Research Abstract |
本研究の目的は、紀元前2000年頃に誕生した中国最初の初期王朝(考古学的には二里頭文化と称される)が多様な地理的・生態的環境を有する広大な中国大陸のなかで、なぜ洛陽盆地という一地域において誕生したのかという問題について、当時の洛陽盆地が有していた地理的・生態的環境およびその地で行われていた二里頭文化の生業・経済基盤を、考古的手法を用いて探ることを通じ、その背景を明らかにしようとするものである。 洛陽盆地に中国最初の初期王朝(二里頭文化)が誕生したその背景には、当時の洛陽盆地が有していた特殊な地理的・生態的環境が大きな役割を果たした可能性が考えられ、研究代表者(久慈)は以前からその重要性に着眼し、言及してきた。本研究ではそうした当時の洛陽盆地が有していた地理的・生態的環境およびそうした環境下で行われていた二里頭文化の生業・経済基盤をより具体的・実証的に明らかにするため、二里頭文化の中心遺跡である二里頭遺跡においてウォーターフロテーション等を用いた環境考古学的な分析を行い、当時の洛陽盆地が有していた地理的・生態的環境およびその地で行われていた二里頭文化の生業・経済基盤をより具体的・実証的に明らかにしたい。本研究による成果は「中国最初の初期王朝はなぜ洛陽盆地で誕生したのか」という中国史上における重要な問題を解明する手がかりを提供することができるだけでなく、「なぜ、そしていかにして国家(王朝)というものが誕生したのか」という人類史上における重要なテーマについても、その解明に大きな手がかりを提供し得るものとなろう。 本研究の目的にもとづき、本年度(平成23年度)は、(1)本研究に必要不可欠な機材・物品類の購入・整備、(2)本研究を遂行するうえで必要となる関連書籍類の購入・論文等の収集、(3)研究対象とした遺跡(二里頭遺跡)の発掘責任者である中国社会科学院考古研究所二里頭工作隊隊長の許宏氏や中国社会科学院考古研究所所長の王巍氏らとの本研究にかかわる打ち合わせ、(4)本研究を遂行するための初歩的調査(現地調査)の実施、などを行い、本研究を遂行するための基盤作りとして多くの収穫を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的にもとづき、本年度(平成23年度)は、(1)本研究に必要不可欠な機材・物品類の購入・整備、(2)本研究を遂行するうえで必要となる関連書籍類の購入・論文等の収集、(3)研究対象とした遺跡(二里頭遺跡)の発掘責任者である中国社会科学院考古研究所二里頭工作隊隊長の許宏氏や中国社会科学院考古研究所所長の王巍氏らとの本研究にかかわる打ち合わせ、(4)本研究を遂行するための初歩的調査(現地調査)の実施、などを行い、本研究を遂行するための基盤作りとして多くの収穫を得ることができた。しかしその一方で、二里頭遺跡において実際にウォーターフロテーション等を用いた環境考古学的な分析を実施するにはいくつかの困難な問題があることが中国の研究者らとの打ち合わせから明らかとなったため、来年度(平成24年度)はそうした問題点を克服する方法を模索しながら、本研究の目的を達成すべく最善の方策を見出したい。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度(平成24年度)は、本年度(平成23年度)行った本研究を遂行するための基盤作り((1)本研究に必要不可欠な機材・物品類の購入・整備、(2)本研究を遂行するうえで必要となる関連書籍類の購入・論文等の収集、(3)研究対象とした遺跡(二里頭遺跡)の発掘責任者である中国社会科学院考古研究所二里頭工作隊隊長の許宏氏や中国社会科学院考古研究所所長の王巍氏らとの本研究にかかわる打ち合わせ、(4)本研究を遂行するための現地調査の実施など)を引き続き継続して行いつつ、よりいっそう具体的に本研究を進展・発展させていきたい。 研究を遂行する上での問題的としては、当初予定していた二里頭遺跡におけるウォーターフロテーション等を用いた環境考古学的な分析の実施にはいくつかの困難な問題があることが中国の研究者らとの打ち合わせを通して明らかとなったことが挙げられる。当然ながら引き続き中国の研究者らと綿密に交渉を重ね、当初の予定どおり二里頭遺跡でウォーターフロテーション等を用いた環境考古学的な分析の実施するために最大限の努力を行うが、仮にそれが困難な状況となった場合には、それに代わる他の方法を用いるなどして本研究の目的を達成すべく最善の方策を見出したい。
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