2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23820049
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
井上 明芳 國學院大學, 文学部, 准教授 (90614264)
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Keywords | 文学全般 / 横光利一 / 自筆資料 / 翻刻・調査 |
Research Abstract |
本年度は目的通り、横光利一自筆資料である自筆原稿・手紙・手帳等の調査、分類及び翻刻のため、横光家並びに山形県鶴岡市所蔵資料を整理し、目録の作成を最優先課題とした。そのための研究補助として山本美紀氏・渡辺八千代氏に助力してもらった。横光家からは自筆資料を貸与いただき、現物を慎重に調査分類した。鶴岡市には写真撮影した資料を貸与いただき、それぞれの目録を完成させた。その際全集への収録等も調査し、目録に反映させた。なお鶴岡市の既刊行目録の修正をし、改めて目録を作成した。 目録の作成と同時に、すべての資料のデジタル画像化を行った。デジタル画像化は調査翻刻作業によって原資料を損なわないためであり、保存のためである。横光家所蔵分については貸与いただいた原資料のデジタル撮影を行った。鶴岡市所蔵分については同市が所有するネガ等をスキャンしてデジタル化した。 完成した目録に基づき、デジタル画像を用いて分類的に翻刻を行った。翻刻は、加筆訂正箇所だけではなく、抹消箇所なども翻刻し、できる限り横光の執筆時の状態を再現した。横光家所蔵分については、デジタル画像では判読不可能な箇所についてのみ原資料に当たり確認した。一方鶴岡市所蔵分の不明箇所については、鶴岡市に出張し同市教育委員会文化財課の協力のもと、原資料に当たり確認した。その際、他の箇所についてもできる限り詳細にデジタル撮影を行い、次年度で継続的に翻刻していく予定である。以上の作業を通じて本年度は横光家所蔵分についてすべての翻刻を終了した。ただし、翻刻成果の公開は所有権などを考慮し、中間報告等は差し控え、本研究終了時に全面的に公開することとした。 横光家と鶴岡市にそれぞれ所蔵されている横光自筆資料をあわせ目録の完成と翻刻によって、ほとんど未着手であった横光文学の生成過程の研究に指針を示せると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、横光家所蔵資料と山形県鶴岡市所蔵資料の調査によって、分類整理の上目録を完成させることができている。さらにデジタル画像化についても終了しており、それに基づいた翻刻も横光家所蔵分を終了させた。鶴岡市所蔵分については、判読不可能な箇所の確認に同市に調査に行くことで確認でき、滞ることなく研究を継続させることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果を踏まえ、翻刻が半ばである鶴岡市所蔵分の資料の翻刻を第一に進めていく。また本年度で終了した横光家所蔵分の資料の翻刻についても、確認を重ねてより精度の高い再現性を目指す。最終的には本研究の継続的な成果として、両所蔵の資料の翻刻を全面的に公開し、横光利一研究における生成過程の基盤的研究として寄与したい。そのためには、翻刻のレイアウトなどの見やすさにも配慮する。そのためにDTP作業も専用ソフトを使用して行い、公開用の資料として冊子を作成する。ただし、公開については許諾をすでに得ているが、所有権があるため、十分に配慮し許諾の範囲内で公開する。
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