2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23820055
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小島 智章 早稲田大学, 演劇博物館, 助手 (10611147)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 古典芸能 / 近松 / 文楽 |
Research Abstract |
本年は、申請者が発見し、演劇博物館へ収蔵されることとなった文楽太夫・豊竹山城少掾関係資料についての調査研究を優先したため、当初予定していた近松研究所や甲南女子大学附属図書館所蔵資料の調査まで及なかった。豊竹山城少掾は、近代文楽史上最も重要な演者の一人で、近松作品等の復活上演や曲譜の継承に尽力する一方で、近松浄瑠璃本をはじめとする浄瑠璃資料を蒐集・研究し、戦前戦後の近松研究及び浄瑠璃研究の進展に多大な貢献をしたことが知られている。 本年度は、特に重要な自筆書入れ本『近世邦楽年表 義太夫節之部』及び『文楽今昔譚』、戦前戦後の近松浄瑠璃本の蔵書目録三種、自筆訂正本『山城少掾聞書』の全頁を撮影し、山城少掾と親交のあった石割松太郎の旧蔵書入れ本『近世邦楽年表 義太夫節之部』や浄瑠璃研究書との比較検討、蔵書目録の翻刻などを行なった。また併せて、国立文楽劇場に収蔵される「山城少掾文庫」の近松浄瑠璃本全冊の書誌調査を行ない、戦前戦後の近松研究・浄瑠璃研究における山城少掾の役割について検討を行なった。これらの調査研究成果は、2013年秋に演劇博物館で開催を予定している「豊竹山城少掾展」の展示解説及び図録・資料集の刊行をもって発表する。 本年度はまた、関西大学図書館で発見された文楽人形遣い吉田文五郎関係資料を翻刻・紹介し、近代文楽を支えた文化人サークルの具体的事例を明らかにした。近代文楽の観客層や支援の実態については依然不明な点が多く、今後の研究にとって有意義な調査報告であると考える。 近松の学術的研究分野に関しては、『坪内逍遙書簡集』(全6巻、2013年3月、早稲田大学出版部)第1巻所収「饗庭篁村」の項の翻刻・校訂・注記執筆に協力した他、逍遙宛て書簡や手記などの未翻刻資料の調査研究を行なった。 本研究期間内に調査の及ばなかった機関、資料については、今後も調査研究を継続する予定にしている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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