2011 Fiscal Year Annual Research Report
若者の議院外政治運動と「無党派」的政治文化―戦前日本における実態と比較史的考察
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23820058
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
伊東 久智 早稲田大学, 大学史資料センター, 助手 (90434373)
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Keywords | 日本近現代史 / 若者 / 青年 / 学生 / 政治運動 / 政治文化 / 議会政治 / 政党政治 |
Research Abstract |
〔研究目的〕 本研究は、日露戦後から大正期にかけて議院外における政治運動を開始し、昭和戦前期には代議士へと成長してゆく一群の若者たち(「院外青年」)に焦点を定め、彼らの軌跡(青年時代の運動)と行方(代議士時代の活動)とをシームレスに跡づけることを目的として遂行されるものである。 〔研究方法〕 上記の目的を達するため、本研究を、(1)中心人物の一次史料調査(地方における史料調査)、(2)代議士時代の活動の把握を内容とする〈基幹的研究〉と、(3)地域/国外における青年政治運動に関する基礎的研究(石川県における日本海青年党連盟に関する史料収集と、ドイツ史・朝鮮史に関する研究史整理)を内容とする〈発展的研究〉とに分類し、順を追って作業を進める計画であるが、本年度はその中でも〈基幹的研究〉の(2)を継続的に進めつつ、適宜(1)を実行に移した。 〔研究成果〕 具体的には、研究期間を通じて、昭和戦前期を対象とする政治史研究のサーベイを行い、主要文献・史料の収集に努めた(上記(2)に該当。大阪での雑誌調査を含む)。作業は順調に進んでいるが、研究史整理のためにはそれらの批判的検討をさらに進めてゆく必要がある。 一方、上記(1)については、当初の計画では今春に一度、長崎調査を行う予定であったが、それに加えて、次年度に予定していた愛知県豊橋市での調査をも先行的に進めることができた。この二度の地方調査では、西岡竹次郎と鈴木正吾という二人の人物について、代議士時代の選挙活動を両人の地元紙を通じて発掘することに努めた。その成果は、今年五月の学会報告において発表するとともに、今後その内容をさらに増補し、論文としてまとめることを予定している。 なお、年度内に発表した二つの研究成果は、本研究のテーマをジェンダー・男性性(学会発表)や人材供給源としての大学弁論部(雑誌論文)という観点から捉え直したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄に記したように、本年度は(1)中心人物の一次史料調査及び(2)代議士時代の活動の把握を進めることを課題として設定したが、(1)については、申請時の計画以上の成果を得ることができた。(2)については、主要文献・史料の収集という最低限のタスクはこなすことができたものの、研究史整理のためにはさらなる読解・整理作業が必要であると考えている(もっとも、研究計画の見直しに及ぶほどの遅れではない)。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究を通じて、中心人物の一次史料調査については、当初想定していたよりは日数を要することが判明した。今回のように、3泊4日程度の調査で集中的に史料を収集することは、確かに効率的ではあるかもしれない。しかしながら、調査の過程において新たに収集すべき史料を発見したり、当初予定していた収集範囲を拡大すべきと判断することもあった。本研究実施前にすでに一度行っていた長崎調査を、本研究実施期間にいま一度行った理由はそこにある。よって次年度は、必要に応じて調査の回数を増やすことも検討している(追加調査の必要性は調査の過程において判明することが多いため、調査の回数を当初計画通りとし、日数のみ増やすという対処方法は採らない)。
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Research Products
(2 results)