2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23820071
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金子 貴昭 立命館大学, 衣笠総合研究機構, ポストドクトラルフェロー (20411150)
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Keywords | 板木 / 版木 / 出版記録 / 近世出版 / デジタルアーカイブ |
Research Abstract |
1、板木デジタルアーカイブ構築 (1)株式会社法蔵館、(2)株式会社芸艸堂、(3)奈良大学博物館、(4)立命館大学アート・リサーチセンター、(5)東京高橋家所蔵の板木について、デジタルアーカイブ構築(クリーニング・デジタル撮影・画像処理・メタデータ構築)に着手した。別資金との相乗効果もあり、(1)4994カット、(2)1497カット、(3)7060カット、(4)18441カット(完了)、(5)577カットのデジタルアーカイブを構築した。これらを申請者が構築するwebデータベース「板木閲覧システム」に登録し、書誌情報の蓄積を行って「板木書誌学」の構築を継続的に進めている。これらは次年度以降、権利関係の処理が済んだものから順次web公開されることとなる。 また、これらの活動を通じて得た知見について、国内シンポジウム・研究集会で口頭発表を行った他、国内雑誌論文1本、英文論文1本(掲載決定、編集申)を執筆した。また同時に、板木に対応する板本の調査・収集を行い、それらのデジタルアーカイブ構築を行った。これらの資料の存在と価値を江湖に知らしめるため、報告者の企画・構成による展覧会「現代に伝わる板木」展を開催した。 2、出版記録の読解とデータベース構築による、近世出版における板木の役割考察 当年度は、出版関係諸記録から現存板木に対応する記事の抽出を進め、それと並行して出版記録の読解を行いつつ、データベース構築に向けたメタデータ構成の検討を行った。また、抽出した記録の一部をテキストデータ化して精度を高め、メタデータ構成に従ってメタデータ構築テストを行い、テストデータを用いて出版記録データベースのプロトタイプを構築した。このプロトタイプにより、板木デジタルアーカイブ、板木デジタルアーカイブを連動させるスキームについてもテストを行った。これらを通じて得た知見は、国内学会において口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、当初の研究計画にそくして研究活動を進めることができ、かつ、研究計画には含まれていなかった板木コレクションのデジタル化も進捗させており、おおむね順調に進展していると評価することができる。一方、板木クリーニング作業に当初予想以上の時間を要しており、「9.研究実績の概要」の1の(1)、(2)のデジタルアーカイブについては、ほぼ計画どおりに進んでいるものの、計画を上回ることはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時はデジタルアーカイブ構築の実施時期を8~9月、2~3月に設定して計画を立てていたが、「11.現在までの達成度」に述べた理由を受け、実施時期は通年とし、8~9月、2~3月は集中期間と位置づけた上で、特に株式会社法蔵館、株式会社芸艸堂所蔵板木について、平成23年度以上の進捗を促す。 平成23年度に構築したデジタルアーカイブの一部は、すでに公開を開始し、報告者以外の利用にも供しているが、研究の目的に述べた「研究界全体の基盤強化」を遂行するにあたり、株式会社法蔵館および株式会社芸艸堂と早期にデジタル画像公開に関わる正式な取り決めを交わし(内諾は済)、公開にこぎ着ける必要がある。
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