2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23820078
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
姜 英淑 松山大学, 人文学部, 講師 (80610162)
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Keywords | 韓国語のアクセント / 慶尚北道 / 奉化方言 / 全羅南道 / 麗水方言 |
Research Abstract |
本研究は,韓国語諸方言のアクセントの記述研究及びその体系の解明を目的としている。 平成23年度の研究実施計画のうち,慶尚北道(けいしょうなんどう)の奉化(ぼんふぁ)及び全羅南道(ちょるらなんどう)の麗水(よす)地域のアクセントの記述調査を行うことができた。 奉化(ぼんふぁ)方言は,用言の活用形のアクセント特徴及び世代差を明らかにすることを目的とした。調査の結果,高年層の用言の活用形のアクセント交代の全貌が分かり,他の慶尚道方言とは大きな違いはなく,中期朝鮮語でも見られた声調交代とほぼ一致していることが確認できた。また,若い世代も高年層とはアクセント体系は一致し,活用形のアクセント交代も大体一致していると確認できた。その点,記述研究としての成果は上げられたと評価できる。ただ,若い世代には1音節語幹の交代が高年層と違いが見受けられた点は,今後の課題にしたい。 麗水(よす)方言は,突山島を中心にした,アクセント体系の解明や地域差の有無を明らかにすることを目的とした。調査の結果,名詞のアクセント体系は先行研究とは異なり,2つのアクセント型が対立を成している2型アクセントと分かった。これに対して,用言の活用形においては3音節まではかつては存在していたアクセント型が保たれており,名詞と用言のアクセント体系が異なると言える。もし,それが言えるのであれば,韓国語諸方言において,名詞と用言のアクセント体系が異なる方言として報告できる。この点は,今後さらなる調査による確認・分析が必要である。 また,突山島内では現在まで地域差はないと判断するが,世代差がある可能性が見受けられた。この点も今後の課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的としていた慶尚北道方言及び全羅南道の麗水方言のアクセント体系の解明は,残された問題はあるものの,その実態を明らかにすることができた。麗水方言に絞っての記述調査を行っている全羅南道方言のアクセントについては引き続き他地域の実地調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は,従来通り現地調査による記述研究を行う予定である。ただし,全羅南道方言は慶尚道方言とは異なり,アクセントの変化の途上(若しくは曖昧なアクセント対立)にあると考えられるため,広い地域よりは1つの地域を,話者を増やして詳しく記述調査を行う方が,より信頼できるデータが得られると判断する。今後,この点に注意しながら研究を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)