2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23830001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
朝田 とも子 北海道大学, 大学院・法学研究科, 博士研究員 (80612598)
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Keywords | 国家賠償 / 虐待 / 法治国家 |
Research Abstract |
虐待事例において行政権限不行使責任が国家賠償訴訟において問われることはほとんどない。そのため、虐待事例においては積極的な行政による保護が必要であり、そのための制度構築が不可欠であると考えられるが、同時に、行政による積極的な保護には多くの問題がある。日本において、要保護児童対策の中心を担っているのが児童相談所である。しかし、要保護児童の増加に伴い、児童福祉施設の不足、財政負担の増加が問題となっている。また、里親制度委託の運用に期待が寄せられているが、児童相談所の任務が過重であるため、児童相談所は機能不全を起こし、里親委託率が全国平均で10%程度にとどまる。さらに、児童相談所と民間の養子斡旋団体との連携は取られておらず、民間の悪質な団体による金銭の授受の問題、養子縁組後の公的支援が行われないという問題がある。本研究では、国家賠償制度の法治国家原則を担保する機能の限界を示し、虐待事例における実質的法治国家を目指すための方法を模索する。そのため、次の3点を具体的な研究対象とする。(1)日本における児童相談所の役割と、民間の斡旋団体との連携可能性を明らかにする。(2)ドイツにおける少年局の役割を明らかにする(3)ドイツ少年局によって、いかに実質的法治国家が実現されているかを明らかにする。それと同時に、刑事政策との関係についても考察する。具体的には警察の有する裁量に着目し、児童相談所と警察の規制権限の関係等についてである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目はドイツの国家賠償法の研究を進めるとともに、日本の児童福祉施設等へのヒアリングを行った。その結果日本における児童福祉行政の問題点が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
日本における福祉行政の問題点に関して、ドイツの制度と比較検討を行う。
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