2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23830005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伏見 岳人 東北大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (20610661)
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Keywords | 日本政治外交史 / 日本陸軍 |
Research Abstract |
研究初年度にあたる平成23年度には、当初の研究計画に基づいて、各種の行次資料の調査・収集作業に多くの力を割いた。まず国立国会図書館憲政資料室に所蔵されている大正前期に活躍した政治家や官僚の書簡や書類をはじめとする原資料の調査を何度も実施した。また奥州市立後藤新平記念館で保管・整理されている後藤新平の関係資料の調査を実施し、すでに公開されている資料群との関係性を検討することでいくつかの新知見を得た。また日本陸軍に関する近年の研究成果を幅広く吸収することに努め、大正前期の政軍関係を研究する意義づけをさまざまな角度から検討した。これらはいずれも次年度の研究計画を遂行する上で重要な基礎作業となるものである。 今年度にとくに力点を置いたのが、大正時代の幕開けとほぼ同時に起きた二個師団増設問題とその後の政治変動の分析である。新規陸軍拡張を要求して政変の引き金となった上原勇作陸軍大臣に関する新出資料が公開されたことを受けて、これまで知られていた上原勇作の関係文書や宇都宮太郎の日記などと組み合わせて多角的な分析を試みた。また大正政変期の第三〇議会から、二個師団増設が最終的に実現する大正四年の第三六議会までの各議会における衆議院・貴族院での予算審議の過程を、議事録を手がかりとして体系的に把握することに力を注ぎ、予算審議過程における変化と政党内閣の確立過程の関係性について考察した。さらに大正前期の二大政党の一翼を担った立憲同志会の創立経緯について改めて分析を加え、当該期間の政治過程に関する理解を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に基づいて、資料調査を順調に実施することで、研究を進展できていると考えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
資料調査を継続して行い、それらの成果に基づいて当該期間の政軍関係に関する分析結果をまとめる予定である。
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