2012 Fiscal Year Annual Research Report
移民統合政策が移民の社会参加に与える影響についての実証研究
Project/Area Number |
23830007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永吉 希久子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50609782)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 移民統合政策 / 社会統合 |
Research Abstract |
本研究の目的は、移民統合政策が移民の社会参加に与える影響を検証することにある。この際、制度がそれにかかわる複数のアクターによって参照・解釈されることにより、彼ら/彼女らの行動を枠づける、というメカニズムに着目する。 本年度は、スウェーデンの移民統合政策の影響についてのフィールドワークを通じて、上記のメカニズムを分析した。より具体的には、反差別法の移民の労働市場への参加に対する効果および移民統合政策の中央集権化が移民の社会統合に与える影響についてのフィールドワークを行った。反差別法については、運用にかかわっている反差別オンブズマン、労働組合、反差別NGOでインタビューを行い、労働市場における民族差別に反差別法が適用可能なのかを検討した。分析の結果、反差別法を適用するためには「民族」が原因で待遇に差が生じていることを証明する必要があるため、教育達成で不利な地位におかれ、就労経験を積むことが困難な民族的マイノリティの移民には差別の証明が困難であり、適用が難しいことが示された。また、2008年に女性差別や障がい者に対する差別等を扱う他のオンブズマンと統合したことで、敗訴の可能性が低い差別の証明が容易なケースへと資源の配分がなされるようになり、民族差別が扱われる割合が低下していることが示された。 さらに、スウェーデンの移民統合政策の中央集権化は、移民の少ない地域に対しては他の地域と同じサービスを提供可能にするものであるが、移民集住地域においては予算の削減をまねいていることが明らかになった。結果としてEU等の組織から予算を獲得するため、EUの政策方針にあった形で「統合」概念が定義しなおされていくことが示された。しかし、統合政策の民営化が生じたことで、すでに地位達成を経験した移民などの多様なアクターが統合政策に参入し、移民とホスト社会住民のネットワーク形成が生じていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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