2012 Fiscal Year Annual Research Report
福祉国家再編期の自治体における政策実施の多様性の要因の解明
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23830015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒見 玲子 東京大学, 社会科学研究所, 助教 (20610330)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 要介護認定 / ガバナンス / 家族介護者 / 介護保険 / アンケート調査 / 保育行政 / 評判 / 適応的執行 |
Research Abstract |
本研究の目的は、サービス受給の可否が生活に大きな打撃を与える要介護認定および保育所の入所判定の政策実施過程を分析し、行政組織外のアクターがどのように影響を与えるのか、ガバナンスにおける資格認定業務の実態を明らかにすることであった。2年目の平成24年度は、第一に、福井県内の15保険者の協力を得て倫理審査も踏まえ、要介護認定における認定調査員調査に同席した家族介護者のアンケート調査を行った。前年度の研究成果を踏まえ、調査対象を一般市民に変更している。調査は第1号被保険者の要介護認定者名簿から1150名の系統抽出、郵送自記式調査を行い、有効回答率は44.3%(510通)であった。この調査から以下の2点が分かった。第一に、福井県内の認定調査経験者は認定調査の公平性を比較的高く評価していたが、調査結果ではなく、調査員の接し方・時間、調査結果の速さなど調査のプロセスが公平性への評価に大きく影響を与えることが分かった。第二に、第一線職員である認定調査員の接触への評価である公平性の評価が、介護保険制度全般や地域への信頼などより広い政治意識への影響を与えることが分かった。これは現在の要介護認定の適正化施策に示唆を与える重要な発見である。平成24年度に行った研究の二つ目は、これらのアンケート調査の結果を踏まえた上での要介護認定担当課や認定調査員、審査会委員への補足的なインタビュー調査である。三つ目は、既存の行政学・政治学の文献のレビューと理論モデルの再構築である。この三つの研究を合わせて、次のことが明らかになった。行政組織内外の組織間関係から生じる自治体の介護ガバナンスのあり方が自治体担当課の「評判」を形作り、それが自治体の要介護認定業務の適応的執行の仕方を変化させ、その結果、認定を受けた市民の意識を変化させる循環、という新たなメカニズムを解明することができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)