2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23830017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 浩介 東京大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (30263362)
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Keywords | 資産バブル / 金融市場 / 金融機関 / 金融自由化 |
Research Abstract |
平成23年度は、予定通り理モデルの構築とその解析に集中した。その結果、今後の様々な方向に応用可能な墓本モデルの構築と、そのモデルの均衡を分析するための数値計算手法の確立に成功した。本モデルではバブル資産の保有者が均衡において内生的に決定される。しかもバブル崩壊後の経済調整の規模は銀行がバブル資産を保有した方が大きくなるという結果が得られることが示される。その理由は、家計がバプル資産に投資する際にはレパレッジをかけないのに対し、銀行はレパレッジをかけてバブル資産に投資するからである。バブル崩壊後には、銀行は資本不足に直面し貸し渋りが発生するために経済調整が激しくなる.これらの理論的な結論は事実と整合的である。従来の資産バブルの研究では銀行などの金融機関がバブル資産に投資をするような経済状態を記述する理諭モデルが存在しなかったために、当該研究は重要な成果を出したと考えられる。また、研究実施計画に挙げた「早期警戒指標」の理論的な分析や、金融自由化とバブルの発生に関する分析にも成功した。さらに、当初の予定よりも早く、金融機関の救済政策と資産バブルの分析にも着手し、モラルハザードとバブルの関係について考察を行った。これらの成果の一部はすでに日本鍍行ワーキングペーパー.として刊行した。以上のように、平成23年度に構築した基本モデルは極めて拡張性の高いものとなっており、今年度の研究やその後のさらなる研究の基礎となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
すでに、研究計画に挙げていた平成25年度に取り組む予定であった課題に、平成25年1月時点から取り組むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、当初の研究計画に沿って研究を進める。また、さまざまなコンファレンスで発表しコメントを集めたところ、バブルを特定資産に付着させる状態を記述するような理論モデルの必要性を認識するに至った。当初の計画に加えて、この課題についても取り組む予定である。
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