2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本の重電メーカーにおける技術革新メカニズム-高効率石炭火力発電の事例-
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23830018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 悟志 東京大学, 大学院・経済学研究科, 特任助教 (70613313)
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Keywords | 製品開発 / 技術開発 / 石炭火力発電 / イノベーション / 経路依存 / 産業競争力 |
Research Abstract |
本研究の目的は,重電企業の高効率火力発電の開発事例をもとに,(1)なぜ日本企業は技術進化できたのか,(2)技術転換期の開発をどのようにしたか,(3)ドミナントデザインを構築するために日本企業はどのような行動をとったか,(4)なぜ日本の重電産業は競争力をもったか,これらの問いを明らかにすることである。そして現在,これらの問いのいくつかは実証研究がおこなえた。今後は,現在の研究結果と仮説に対し,主要海外重電企業の数社の調査を加えることで,日米欧の重電企業における先端技術である高効率火力発電の開発事例をもとにした実証研究ができる。昨今の電力問題のなか,高効率火力発電は注目度が急激に上がってきている。それと同時に現実とかけ離れた議論も出てきているなか,学術的に重電産業・企業の競争力や技術開発力を詳細に分析することは大変意義があり,重要である。また産業界からもそれを望む声がある。したがって随時研究成果を世に出すことの重要さを再認識し,その期待に応えるべく努力をする。電力産業を技術的に支えているのは重電産業である。長い歴史のなかで電力産業と重電産業は,連携の仕方も変わってきた。そのなかで電力産業における発電技術の「空洞化」ともいうべき,技術力の低下が明らかになってきている。この議論は大変重要である。また重電企業の技術的なミクロな部分にこだわらず,社会インフラとして重要な電力(発電)の役割をマクロの視点も加味し,研究成果をまとめたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究全体の達成度は,やや遅れている。それは「成果(論文執筆)」が出ていないからである。調査は順調に進んでおり,研究目的は達成できそうである。また今年度は調査も進み,データ等もそろっているので成果も随時出せる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究については,24年度は,海外企業の調査を中心とすることに変更はない。23年度の国内企業の調査結果を踏まえ,現在2本の論文の執筆・投稿を予定している。その他,6月に学会での発表が決まり,7月には関連技術協会からこの研究に関連した発表の依頼がある。今年度の研究結果も随時成果を出していく。
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