2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23830023
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
二宮 元 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任講師 (10611626)
|
Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
|
Keywords | 寛容な社会 / 法と道徳 / 市民社会 / 社会民主主義 / 保守主義 / 福祉国家 |
Research Abstract |
本研究は、戦後のイギリスで行なわれた社会の寛容化に向けた諸改革を考察し、その政治的・思想的な背景を明らかにすることを目的としている。平成23年度に行なった、保守党政権のバトラー内相時代(1957~62年)の寛容化の改革についての検討をふまえて、平成24年度においては、その後の労働党政権(1964~70年)のもとで行なわれた寛容化の改革について研究を進めた。具体的には、1、労働党内で寛容化の改革を積極的に推進した理論家の思想や言説を検討すること、2、寛容化の改革の具体的な立法過程の検証を行なうことに取り組んだ。 1、労働党内の理論家の思想と言説の考察:平成25年1月~2月に渡英し、ロンドン大学(LSE)付属図書館に所蔵されている労働党関係の資料の収集と調査を行なった。とりわけ、労働党内で寛容化の改革を積極的に支持する議論を展開したA・クロスランドの個人所蔵資料(クロスランドペーパー)を閲覧できたことは非常に大きな成果であった。それらの資料の分析を通して、労働党内では寛容化の改革が、福祉国家建設と経済成長の達成という戦後当初の目標が達成された次の段階で取り組むべき課題として重視されていたことが明らかできた。 2、寛容化の立法過程の分析:同性愛の合法化、中絶規制の緩和、離婚の自由化の三つの改革を中心に議会の議事録資料を用いて、具体的な立法過程を考察し、それらをめぐる議会での政治的対抗関係を明らかにした。これらの改革への賛否は、保守・労働の政党間対立とは独自の位相をもっており、したがって、保守・労働両党それぞれの内部に改革を支持する勢力が存在したことを確認できた。 以上の研究の成果を、平成24年6月に行なわれた日本比較政治学会において「イギリス福祉国家と寛容な社会」と題して報告したほか、平成25年3月に論文としてまとめ、一橋大学大学院社会学研究科の紀要『一橋社会科学』に投稿した。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|