2011 Fiscal Year Annual Research Report
非上場化取引におけるフェアネス・オピニオンの意義と取締役の責任
Project/Area Number |
23830027
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
永江 亘 金沢大学, 法学系, 准教授 (20610786)
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Keywords | 民事法学 |
Research Abstract |
本研究は、近時のホット・イシューであるMBO・友好的買収・敵対的買収を非上場化という共通要因の下で体系的に整理した理解を前提に、近時実務的な利用がみられるフェアネス・オピニオンの意義・機能及び問題点について検討するものである。本研究は、わが国で未だ十分な検討が行われていないフェアネス・オピニオンについて、効率性市場仮説への態度と外部機関による意見書の意義・機能への評価の関連性を検証し、取締役の責任の法理と一体的に検討するという、極めて高い新規性を有するとともに、新たな既存少数派株主保護の途を模索するという独創性・重要性を有する研究である。本研究は、既に実務が先行しつつある状況にあり、法改正によって生じた現代的問題について検討する、まさに喫緊の課題であるといえる。 この問題にかかり、本研究では意見書の発祥の地である米国の議論を参考にして分析を進める。具体的には、(A)非上場化取引における取締役の責任の位置づけの再検討、(B)米国におけろ判例・学説上の意見書の意義・機能を巡る議論と効率性市場仮説との関係の整理、(C)米国におけろ意見書の内在的問題点に関する議論の整理(D)米国における不公正な意見書発行の防止措置及びその理論、(E)わが国における取締役の責任を巡る判例・学説の理論と非上場化取引との整合性、(F)わが国における意見書の意義と問題点の6つの問題に分けて問題を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本件研究計画に挙げた(A)・(D)については、早期に取り組むことができたため、複数の論文を公刊するに至り、現在も(E)・(F)りに関する論文を執筆中であり、また学会報告の機会も確保することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、研究計画(E)・(F)りにかかる論文を本年度中に2本公刊することを予定している。これらを基に、日本私法学会において個別報告を行うと共に、所属する研究会にてそのプレ報告を行うことで、多くのフィードバックを得る機会を確保する。
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