2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23830040
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宇野 浩司 大阪大学, 社会経済研究所, 助教 (70506386)
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Keywords | ポテンシャルゲーム |
Research Abstract |
本研究は、どのような時に純粋戦略ナッシュ均衡が存在するかという均衡存在問題、複数:のナッシュ均衡が存在ずる時にどの理論予測がもっともらしいかという均衡選択問題、限定合理的なプレイヤーが長期的に関わりあう状況においてどのような理論予測を立てればよいかという問題(動学プロセスの収束問題)について考察する。これらの問題はゲーム理論を用いて戦略的環境を分析する上でよく直面するという意味で、ゲーム理論における基本問題である。 特に、本研究は、社会経済によく見られる「グループ構造」をもつ戦略的環魔を研究対象とする。一般にこのような環境は利害が複雑に絡み合い、分析には困難が伴う。そこで、本年度は、「入れ子式ポテンシャル」をもつゲームにおいて自然な動学プロセス(階層適合)という動学プロセスを提案し、その動学プロセスが収束するための条件を与えた。そして、京都大学、大阪府立大学にてセミナー報告をし、そこで得た有益なコメントを反映し論文として完成度を高めた。 また、純粋戦略ナッシュ均衡が存在するための2つの十分条件、入れ子式ポテンシャルゲームと戦略的補完性を持つゲームとの関係を考察し、戦略集合が全順序ならば、入れ子式ポテンシャルゲームの方が戦略的補完性をもつゲームより広い範囲で適用できることを示した。その結果をまとめた"Strategic Complementarities and Nested Potential Games"はJournal of Mathematical Economicsに掲載された。 さらに、同一利害をもつチームが敵対関係にある、いわゆる2チームゼロ和ゲームにおける均衡選択問題を考察するために、「主=双対ポテンシャル」という概念を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
入れ子式ポテンシャルゲームで明らかになった性質は他のグループ構造をもつゲームにおいて成立する可能性を示唆する。その意味で、入れ子式ポテンシャルゲームは重要な役割を果たす。23年度、その入れ子式ポテンシャルゲームにおいて、純粋戦略ナッシュ均衡存在問題と動学プロセス収束問題に関する性質が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に定式化した「主=双対ポテンシャルゲーム」と均衡選択として重要な概念、情報頑健均衡との関係を考察する。望む結果を得た後、論文として完成させる。そして、学会、セミナー報告を行い、フィードバックを受け論文としての完成度を高め、専門誌へ投稿、掲載を目指す。 また、「入れ子式戦略的補完性」をもつゲームにおける考察を始める。具体的には、まず「戦略的補完性」を定式化し、純粋戦略ナッシュ均衡の存在条件について探る。
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