2011 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀後半日本における地域エリートの学習歴の変容過程に関する研究
Project/Area Number |
23830056
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
池田 雅則 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (60609783)
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Keywords | 学習歴 / 地域エリート / 文官普通試験 / 中等教育 / 各種学校 |
Research Abstract |
これまで十分明らかでなかった19世紀後半日本における地域エリートの学習歴とその変容過程について、教育史学の手法で検証することが本研究の目的である。 平成23年度は、第一に「正規」でない学習歴を歩んだ地域エリートの「不定型」で複雑な学習歴の実像とその変化過程について明らかにするための史料調査を行なった。第二に他方で「正規」の学校での学習歴を歩んだ地域エリートの学校における学習内容を知るための史料調査を行なった。そして史料の整理と先行研究の整理を進めた。 第一の史料調査については、文官普通試験に合格し判任官に登用された人物の学習歴について調査を進めた。山口県公文書館での調査に着手し、1880年代から1900年代に至る文官普通試験に関わる史料を収集することができた。収集した史料は、文官普通試験の制度構築に関わる史料、合格者の履歴、試験の出題問題、合格者の回答などである。第二の史料調査については、大阪府や岩手県の旧制中学校に起源を持つ高等学校を訪問し、所蔵されている校友会雑誌等を撮影し収集することができた。また、国立国会図書館、国立公文書館や国立教育政策研究所などの諸機関も訪問し、双方の調査を補足する資料を収集した。 先行研究の整理については、中等教育史研究・官吏研究などの論文や著作を収集し、その整理を進めた。史料はデジタルデータの形で保存している。その数は数千枚に及んでいるが、読解と整理に着手しはじめた。 次年度は、薪たに所在が判明した史料の収集を進めながら、収集した史料の整理を進めて論文等の形で報告できるようにすることを目標としていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では山口県内に所在する史料を収集する予定であったが、新史料が発見されたことで当初予定していなかった史料調査を行うことができた,また、山口県内の史料調査も順調に進行し、数千枚におよぶ史料を収集しデータ化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで閲覧・収集できた史料は相当の量にのぼっており、教育史学の厳密な実証的検証に耐えうるものだと判断する。 今後は史料の記述内容を整理し、学習歴の類型化を図っていく必要があるので、丹念に史料を読み込んでいくことが必要である。また、地域エリートの学習歴に影響を与えた教育制度についても検討を重ねる必要がある。
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Research Products
(2 results)