2012 Fiscal Year Annual Research Report
インクルーシブ教育における視覚障害児の支援体制構築に関する歴史的研究
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23830063
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Research Institution | Ibaraki Christian University |
Principal Investigator |
宮内 久絵 茨城キリスト教大学, 文学部, 講師 (40530986)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 視覚障害教育 / イギリス / インテグレーション |
Research Abstract |
本研究の具体的課題は、1970年代に分離教育批判と視覚障害児のインテグレーションを要求し、その後イギリスにおけるインクルージョン導入の先導的役割を担った視覚障害当事者団体、ABAPSTASに焦点を当て、彼らの主張ならびにその背景にある思想・理念を明らかにすることであった。24年度は、1972年に彼らが考案したインテグレーションモデルの詳細とその背景要因について一次資料とインタビュー調査をもとに明らかにした。 ABAPSTASが1972年に考案したモデルは、単なる場の統合ではなく、通常学校に視覚障害教育の専門家を配置する「サポーテッド・インテグレーション(supported integration)」であった。同モデルが構想された背景には、次の2つの要因があった。第一にABAPSTAS創設者の一人であったM.ミリガン(Martin Milligan, 1928-1998)が、1930年に当時においては珍しかったインテグレーションを経験していたことである。全盲であったミリガンは、通常学校において障害の特性に応じて特別に作成された教材と専門教員の支援のもと16歳まで教育を受けた。第二にABAPSTASが有していた障害観である。ABAPSTASは、視覚障害は「重篤な障害」であり、したがって視覚障害者は一般の人々とは明らかに異なるニーズを有する人々であると認識していた。この考えは、当時イギリス国内で際立った存在となっていた、いかなる特別な配慮・支援も否定するインテグレーショニストとは対照的なものであった。 イギリスの視覚障害教育がインクルーシブ教育へと転換しながらも盲学校教育の専門性を継承し、さらに通常学校における手厚い支援システムを構築してきた背景には、ABAPSTASによるこうしたモデル構想があった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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