2011 Fiscal Year Annual Research Report
学校と教師を支援する教育学的視座の構築‐「体験的学習」の活性化に向けて
Project/Area Number |
23830065
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
石崎 達也 東京福祉大学, 教育学部, 助教 (50612818)
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Keywords | 教育学研究 / 教育体験 / 教師教育 / 体験的学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)基礎研究としてのE.レヴィナスの思想研究、(2)「教育体験」のテクスト化を行う調査研究、そして(3)授業開発研究の三つの段階を設定し、それぞれの研究の性質の相違に注意深く配慮しつつ複合的研究を行うことにより、「学校」と「教師」を支援することに焦点化した教育学研究の枠組みを構築することにある。 平成23年度の本研究の具体的内容は、基礎研究として、レヴィナス思想と教育に関する先行研究のテクストとして"Levinas and Education:At the Intersection of Faith and Reason"(Egea-Kuehne,D.ed.,2008)を読み進める中で、「教え」という言説を手がかりに教育場面における「教師-生徒」関係を考察し、教師の「教育体験」を語り直す視座を検討した。同時に、研究協力校(ECC学園高等学校)でのスクーリング授業に同行し、教員および生徒とともに体験的活動を行う過程で資料収集を行った。具体的には、10/19-20に行われたスクーリング授業において参与観察、アンケート調査などを行った。さらに1/20と3/23に教員を対象とした勉強会を開催し、「教育体験」の記述式アンケートの実施および調査報告を行った。 今年度の調査研究が本研究課題にもたらした意義は、第一に、研究協力校の教員(20人)および生徒(約70人)を対象に行った記述式アンケート結果をもとに、それぞれの「学校」や「教師」に向けられた言葉、イメージを収集することができた点である。この調査結果をもとに、次年度では「学校」および「教師」をテーマにした授業開発を行う予定である。 加えて、教員を対象にした記述式アンケートにおいて「教育体験」の記述を収集しており、この資料をもとに、次年度では教員と共同で研究会を開き、教師の「教育体験」が実際の教育実践にどのような影響を及ぼしているのか、教師の「体験としての自己変容」について考察する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)研究協力校の生徒対象アンケート調査の分析が遅れている。(2)インタビュー調査を依頼する予定の生徒との日程調整ができていない。(3)教員を対象とした記述式アンケートの回収が終了していないこと。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策としては、日本教育学会での研究発表に向けて、集計したデータの分析を行う一方で、「本研究の調査研究が思想研究とどのようなつながりを持ちうるのか」という問いに対する応答を教育実践と思想研究に関する先行研究を読み進める中で、準備していく。また、「教育哲学・思想研究が教師にとってどのような意味を持ちうるのか」という問いに対して、生徒との関係において、さまざまな課題を抱えている教師との対話を重ねることにより考察を深めていく。
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