2012 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における綿紡績業の発展に関する研究―制度に対する企業の組織と戦略の選択―
Project/Area Number |
23830070
|
Research Institution | 秀明大学 |
Principal Investigator |
結城 武延 秀明大学, 人文社会・教育科学系, 講師 (80613679)
|
Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
|
Keywords | 経営史 / 経済史 / 企業統治 / 企業金融 / 比較制度分析 / 契約理論 |
Research Abstract |
本研究は,日本において近代企業がいかなる経路で発展していったのかについて,20世紀初頭の綿紡績業を主たる対象として解明することを課題とする。具体的には,(1)法制度が企業の意思決定に与えた影響,(2)企業の意思決定がいかなる過程を経て選択されたのか,(3)成長していく大企業を運営するにあたってどのようなマネジメントが行われていたのか,これらの観点から近代企業の発展メカニズムを解明することが課題となる。 (1)及び(2)について得られた結果は以下である。20世紀初頭に株式会社制度を活用することで発展した綿紡績業において代表的な企業であった大阪紡績会社を事例として,企業統治の観点から近代日本における「承認」と「監視」の会社機関―取締役と監査役―の機能を明らかにした。具体的には,資本構成に応じて,間接金融に依存していた時期は取締役は監視だけではなく得意分野に応じて経営の実行も行っていた。直接金融に依存するようになると,取締役会に監査役も出席させることで株主に対してガラス張りの経営を行う一方で,大株主である取締役は「承認」に専念し,従業員出身の取締役が経営の「実行」を行うという取締役内においても役割の分業が進展していったのである。 (3)について得られた結果は以下である。20世紀初頭にの日本最大の紡績会社である鐘淵紡績会社を事例として,中間管理職がいかなる役割を果たしたのかを実証的に明らかにした。鐘紡の中興の祖・武藤山治は中間管理職が以下の役割を果たすように工場間・内部の情報交換を徹底して行う制度設計を行った。(1)現場に蓄積される情報・知識の収集と報告,(2)適切な工場内の資源配分,(3)現場労働者の監視である。そうした役割を持たせた中間管理職の活用によって,各工場の平均費用は低下し,生産性は向上した。さらに,工場の生産性には工場長の存在が大きな影響を与えていることも明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(4 results)