2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23830080
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
攝津 斉彦 武蔵大学, 経済学部, 講師 (30613393)
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Keywords | 近代日本経済史 / 産業別府県別有業人口 / 長期経済統計 / 警察統計 |
Research Abstract |
平成23年度中の研究成果は、大きくわけて2つある。ひとつは、1906年以前の府県別産業別有業人口のうち、無業者ならびに第一次産業従業者の系列を作成したことである。 梅村又次による全国レベルの産業別有業人口は、1906年から1940年までをカバーしており、これを国勢調査や帝国死因統計のデータを使ってブレイクダウンすることで、当該期間の府県別データを作成することができる。しかし、それ以前の期間については、第一次産業と無業をのぞいて産業別有業人口の全国値が存在しない。そこで手はじめに、明治初期に作成された府県別の戸籍に記載された職業データを利用して、第一次産業および無業の府県別有業人口系列を作成した。 具体的には、明治7年(1874年)の戸籍に掲載されている府県別職業別データから第一次産業従業者ならびに無業者の人口比を求め、これを1906年の同人口比と直線補間でつなげることで各年の比率を求め、この値に各年の人口を乗じて、府県別の値を求める。さらに、長期経済統計に記載されている全国値と、府県別値の合計が一致するように補正する。この作業が終了したことによって、警察統計を用いた府県別の第三次産業従業者数の推計(これが本研究計画の核心でもある)が完成すれば、残差として第二次産業の従業者数も算出できることになる。 もう一つの成果は、史料としての警察統計の探索にかんするものである。現在、国立国会図書館に所蔵されていた警察統計については閲覧可能な状態にあるが、茨城県と北海道については明治期の警察統計はまったく所蔵されていない。しかし、調査により統計局図書館に、明治10年代の茨城県の警察統計が所蔵されていることが分かり、一部を複写して入手した。また、府県統計書にも明治期の警察業務関連のデータが掲載されている可能性が高いため、今後北海道にかんする調査とあわせて史料収集を進めることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
警察統計の入力に十分な時間を取れていない。各年、各地域によって統計書のフォーマットがことなるため、入力作業を外部に委託することが難しいことが大きな要因である。しかし、今回推計した第一次産業および無業についての系列が比較的安定した(異常な動きが見られない)系列になったので、最終的には信頼度の高い推計値を作ることが可能なのではないかという感触を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、マイクロの紙焼き、統計局図書館所蔵資料の複写を行った上で、警察統計書データの入力を最優先で実施する。目標としては、夏期休暇中に概ね入力が終了している状態にしたい。時間がどうしても不足する場合には、大学院生等に入力作業を依頼することも検討する。
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