2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23830081
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
渡部 博志 武蔵野大学, 政治経済学部, 講師 (40612461)
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Keywords | 情報伝達 / 組織内コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究では、組織目標の達成や事業活動に困難をきたす事態が事業組織内の通常の業務中に生じた場合に、その「悪い情報」が上司へ伝達されるか否かという問題に注目している。本年度は、研究最終年度である来年度に実施する質問票調査にむけて、その事前調査を行うと共に、論点の絞り込みを行った。これは、調査の信頼性や妥当性を確保するためのものであり、具体的には、文献調査に加えて実務家に対するインタビューや予備的な質問票調査を実施している。 「悪い情報」に関する既存研究をレビューし、本研究においては、組織成員によって共通に認識される結果として生じる「組織的沈黙」という現象を、組織構造によって生じる影響と、タイミングや要求される附随情報によって生じる影響という2つの側面から考察する。事業組織においては「悪い情報」を生んでいる事態に対処し組織目標を達成する必要があるため、本研究の論点は、組織的沈黙が生じないようマネジメントの立場から行える要因を検討するという視点に立った、実務家に対する実践的な示唆の提供を企図するものである。 本年度実施した事前調査では、次年度に実施予定のインターネットを通じた質問票調査を用いた。データの集計等は本年度内に完了していないものの、1,253サンプルを得ることができた。なお、質問票作成にあたっては研究者との検討を行い、また実務家に対して質問内容の妥当性や表現の適切さなどを確認している。また、回答率や回答者の分布など、インターネット調査実施時の特性を確認できたことで、この一連の事前調査を通じて、次年度に実施する本調査に向け研究が進捗している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では質問票調査を通じた実証研究を行うため、平成23年度はその事前調査を行い、想定よりも多くの回答者を得る方法で実施することができた。研究が学術的にも、そして実践的にも意義深いものであるためには、より論点を明確にしていく余地は残るものの、研究全体としては平成23年度の当初研究計画通りにおおむね研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に実施した事前調査の結果を十分に考祭した上で、平成24年度上半期中に本調査を実施する予定である。本研究課題は平成24年度が最終年度であるため、調査結果の分析に早期に取り掛かり、その結果を学術論文としてまとめていく。
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