2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23830081
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
渡部 博志 武蔵野大学, 政治経済学部, 講師 (40612461)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 組織内コミュニケーション / 情報伝達 |
Research Abstract |
本研究では、組織目標の達成や事業活動に困難をきたす事態が事業組織内の通常業務で生じた場合に、その「悪い情報」が上司へ伝達されるか否かという問題に注目している。 本年度の研究実績は、大きく分けて2つある。第1に、昨年度実施した事前調査で得られたデータから、非常時におけるコミュニケーションに対して、平時の組織的特徴が影響を及ぼしていることが示唆されたことである。具体的には、東日本大震災という非常時に組織で発生した「悪い情報」の伝達について、震災1年後に当時を振り返るかたちで質問票調査を実施した結果、情報伝達に係る規則を平時において守る組織ほど、非常時おける提言が消極的になる傾向がみられた。この傾向は、情報伝達ルールが遵守される組織に所属する個人ほど所属組織に対するコミットメントが弱くなり、その結果として積極的な提言が非常時なされなくなるという間接的な関係も見られた。また、情報伝達ルールを守る組織ほど情報発信時に伝えられる内容に配慮がなされるという特徴が見られた。 第2に、今年度実施した質問票調査から、どのような問題がより重大な「悪い情報」だと認識されるのかによって、事態への対処に向けた積極的な提言を促進する要因が異なることが示唆されたことである。具体的な一例を挙げれば、社外秘紛失と他部署との調整失敗という2つの「悪い情報」に対して、前者の方がより重大だと認識している場合には、組織内での手順が定められている(公式化の程度が高い)ほどより積極的に提言がなされる傾向が見られる。しかしながら、後者の方がより重大だと認識している場合にはそのような関係は見られない。問題に対する認識の形成には組織内の担当業務内容が多分に寄与することから、ここで示された関係は、第1の点と合わせて、「組織的沈黙」を生じさせずに組織内の積極的な提言促進を企図する実務家に対する実践的な示唆になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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