2012 Fiscal Year Annual Research Report
世界金融危機対応をめぐる比較制度分析:英・米の事例を中心に
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23830082
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
神江 沙蘭 関西大学, 経済学部, 准教授 (90611921)
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Project Period (FY) |
2011-08-24 – 2013-03-31
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Keywords | 国際政治経済学 |
Research Abstract |
本年度は前年度に引き続き、政治体制の違いが2008年世界金融危機への対応にどのような影響を与えたかを比較政治学的観点から分析した。そこでは当該危機において自国でバブル崩壊を経験した英国と米国に分析の焦点を置きつつ、金融危機の震源からより離れていた日本やドイツの規制改革等との比較を行った。 まず2008年世界金融危機における英国の対応と規制改革に関して、前年度末のロンドンでの聞き取り調査やCouncil for European Studiesでの発表へのフィード・バックをもとに研究を進め、7月にワーキング・ペーパーを書き下ろし、学内の研究会で発表した。そこでは危機対応の政治学的分析だけでなく、今後どのような監督体制が求められているかを検討した。さらに9月中旬にドイツ、10月末~11月上旬に米国を訪問し、規制当局・業界団体・大学等の研究機関でヒアリングを行い、図書館・歴史文書館等で資料収集を行った。この現地調査に基づいて金融危機以前の規制改革(1970年代~2000年代頭)と2008年の危機以降の改革の過程を比較分析した。 上記の研究成果の一部を取り込みつつ、2013年3月、Palgrave Macmillanに単著の完成原稿を提出した。本研究課題との関係では、2008年の金融危機は既存の金融市場の権力体制への批判を招き、金融自由化でなく金融市場・監督機能の再編を推進する圧力に繋がった点、金融危機の震源地となった英国や米国は震源地から遠い日本やドイツよりも国際金融規制の強化を必要とした点、グローバル・レベルの金融改革ではヘゲモニー国家の国内政治の影響が支配的となりやすい点等を論じている。 本研究は、近年の金融危機がそれまでに形成された金融ガバナンスに与えた影響を理解し、制度変化が困難な権力分散型の意思決定システムでもいかなる改革へのアプローチが可能かを理解するのに役立つ。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)