2011 Fiscal Year Annual Research Report
不公正な審査団に対する持ち回り決裁による審査の有効性
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23830087
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
安達 剛 早稲田大学, 政治経済学術院, 助手 (00535122)
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Keywords | ミクロ経済学 / 経済理論 |
Research Abstract |
本研究は、候補者との間に利害関係を持つ審査員達(ただしその利害関係は客観的には明らかでない)によって審査団が構成されたコンテストにおいて、コンテストの趣旨に照らし合わせて最良のランキングが自発的に選ばれるような審査団内の意思決定の方法(=メカニズム)として、"各ランキーングについて上から順番に、それぞれの候補者がそのランキングにふさわしいか否か審査員達が逐次的に回答していく"という持ち回り決裁型メカニズムの有効性を分析するものである。本年度はこのメカニズムが有効に機能するための理論的な条件と、従来提案されてきたメカニズムと比較した時の特色について研究し論文にまとめ、下記の学会で報告を行った。それらの参加者及び討論者のアドバイスから、本メカニズムの派生形として"特定の審査員の回答が拒否権的な効力を持つということなく、全審査員の逐次的回答の多数決によって候補者を選ぶ"というより不公平感の少ないメカニズムのアイデアが得られた。このメカニズムについては、更なる研究を通じてその有効範囲の理論的な特徴づけを行うとともに、不公平感の縮小という心理的なメリットに留まらず、ゲームに関する共通知識について弱い仮定を課した場合でも望ましいランキングが選ばれるという意味で、均衡の頑健性を向上させるメリットがあることも明らかにした。実験による検証については、実験昌的及び実験で用いるモデルの確定、上述したメカニズムの派生形が実験結果に与える影響の考察など基本的な実験デザインを完了し、次年度の本実験に向けた準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
報告を予定していた学会の延期(Pan Pacific Conference on Game Theory)など研究目的の達成を妨げる事態も発生したものの、有効範囲の理論的特徴づけやメカニズムの派生形の検討、実験モデルの確定など本年度予定していた研究計画を概ね達成することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ当初の研究目標を達成する為の妨げとなるような問題点は見つかっていない。
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Research Products
(3 results)